"十五年間謝り続けた私に、夫は妹の子を差し出した" 第13話
富はしわだらけの顔を潮させ、誇らしげに胸を張りました。
「今、親戚同の皆様をお呼びてしたのは、が田にとって、これ以ない慶事をご報告するためでございます」
親戚たちが、斉に顔を見わせました。
富は座の修に目配せをし、それから部の隅の陸くんを招きしました。
「陸、こっちへおいで」
陸くんはビクッと肩をねさせ、母親の子の顔を見げました。
子は扇子を握りしめ、たい目で「くきなさい!」と唇をかしました。
男の子は引きずられるようにして、広の央、富と修のにみました。
「実はですね」
富はわざとらしく声を張りげました。
「子がこの度、めでたく良縁に恵まれまして、嫁ぐことになりました。そこで、子の実子である陸を、がの男である修と美智子さんの養子として、正式に迎え入れることに決まりました!」
座敷が、どよめきに包まれました。
「おお……! 養子か!」
「これで修君のところにも、跡取りができるわけだ!」
修が得満面に胸を反らせ、座から私を鋭く見ろしました。
その目は、『さあ、ひれ伏せ』と命令していました。
富が、陸くんの背を引にへ押ししました。
「さあ、陸。おを救ってくれたしいお父さんとお母さんだよ。美智子さんを『お母さん』と呼びなさい!」
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陸くんのさな体が、激しく震え始めました。
喉が引きつり、唇が青ざめていきます。
男の子の線が、母親の子に向きました。
子は座布団のから、鬼のような形相で子どもを睨みつけています。
『失敗したら施設に送る』という脅迫の言葉が、さなを支配しているのが痛いほど分かりました。
「ほら、陸! きな声で呼びなさい!」
修が苛ちを隠さずに声を荒らげました。
「美智子、おもいつまでぼさっと突っってるんだ! にて酒を注ぎ、母さんと俺につ指ついて礼を言え!」
富も扇子を畳に叩きつけました。
「美智子さん! 子どもが産めないあんたに、田が跡取りをさるんだよ! 分の謝を込めてをげなさい!」
親戚たちの線が、斉に私へ集しました。
「美智子さん、くしなさいよ!」
「こんなありがたい話、世のにないわよ!」
歓声と嘲笑が渦巻く広。
私は、に持っていた酒徳利を、漆塗りの膳のに静かに置きました。
カツン、と乾いた陶器の音が響きました。
そして、ゆっくりと背筋を伸ばし、顔をげました。
広の空気が、穏なざわめきとともに止まりました。
「お断りいたします」
私の声は、く、しかし驚くほど澄んで広の隅々まで響き渡りました。
富の顔から、笑みが凍りつきました。
「……は? あんた、今なんと言ったんだい?」
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「子どもは、もらうものではありません」
私は歩に踏みし、修と富の正面にち塞がりました。
「そして陸くんには、子さんという実の母親がいます。の都で荷物のように譲り渡される筋いは、この子には切ありません」
座敷が、静まり返りました。
修の顔が、りで気に赤黒く染まりがりました。
「美智子! 貴様、親戚同ので何の狂言を言いすんだ! がおかしくなったのか!?」
修が座布団をね除けてちがり、拳を振りげました。
「子どもが産めないおのために、俺がどれだけ恥を忍んでこの話を取りまとめたとってるんだ! 誰のおかげでおが今まで並みの顔をしてきてこられたんだ!」
富も血相を変えてちがり、私の着物の袖を掴もうとしました。
「恩らずの女が! うちの敷居を跨がせてもらってる分で、よくもそんなが利けたもんだよ!」
親戚たちから、非難の罵声が涛のように浴びせられます。
「美智子さん、正気かい!?」
「修君の親切を何だとってるんだ!」
号がび交う、私は乱れた息をつも漏らさず、装バッグの留めをしました。
属の質な音が、わずかに鳴りました。
「修さん」
私はバッグのから、第のい封筒を取りしました。
「から、あなたが親戚同に言いふらし、私に背負わせ続けてきたその『恩』について、ここで確認させていただきたいことがあります」