"十五年間謝り続けた私に、夫は妹の子を差し出した" 第12話
「ええ、本当に楽しみね」
「あ?」
「、隠され続けてきた田の本当の姿を、親戚の皆さんにっていただけるんですもの」
修は瞬、眉をひそめて怪訝な顔をしました。
「何を訳の分からないことを言ってるんだ。ほら、くぞ。母さんを待たせるな」
男はそれ以く考えることもなく、嫌でのキーを回しながら部をていきました。
階段をりる夫の音が、階に響き渡ります。
私は鏡のからちがり、元の装バッグをに取りました。
バッグの底には、あの族の欺瞞と罪業をすべて焼き払うための、通のい封筒が静かに収まっています。
玄関をると、張り詰めたの青空が、どこまでもく広がっていました。
息を吸い込むと、肺の奥まで気が満ちていきます。
の屈辱と嘘に、終止符を打つが来ました。
私は度も振り返ることなく、処刑となる田本へと向かうに乗り込みました。
田本のをくぐると、玉砂利を踏むのタイヤの音が、々しく響きました。
築を超える派な本の座敷からは、すでに親戚たちの嬌声と、本酒の匂いが漏れ漂っていました。
「ほら、美智子。もたもたするな」
をりた修が、等なスーツの裾を払って振り返りました。
首のロレックスが、のたい陽を反射してギラリとります。
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「おはまず台所へって、母さんの伝いだ。酒が切れたらすぐ注いで回れよ。嫁の役目をしっかり果たせ」
「ええ、分かっているわ」
私は装バッグの取っを固く握り締め、静かに頷きました。
帯揚げの奥で、ICレコーダーのさな赤いが、規則正しく瞬いています。
勝から台所へ入ると、仕しの吸い物椀を温めていた義母の富が、腕組みをして私を睨みつけました。
「遅いじゃないかい! 親戚の皆さんはもうお揃いだよ!」
富は濃いの縮緬の着物にを包み、勝ち誇ったような笑みを顔いっぱいに浮かべていました。
「いいかい、今の段取りを忘れるんじゃないよ。修が陸を跡取りにすると発表したら、あんたは畳に額を擦り付けて、修と私に涙を流して謝するんだ。親戚に『田のおかげで救われた』って見せつけるのさ」
「ええ。田のの真実を、皆様にお見せします」
「ふん、殊勝ながけだね。さあ、とっとと膳を運びなさい!」
富は私の言葉の裏に潜む気に気付きもせず、顎で皿を指図しました。
ふすまをけると、畳の広に広がる景が目にび込んできました。
座ののを背にして、すでに真っ赤な顔をした親戚の叔父たちがふんぞり返り、その横で、派な友禅染めの着物を着た子が嬌声をげて酒を注いでいました。
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部の隅の柱のに、歳の陸くんがポツンと正座していました。
男の子はたちの号のような笑い声に怯え、膝ので握りしめたさな拳を震わせていました。
誰として、あの子に温かい言葉をかける者はいません。
私には、その姿がの自分となって見えました。
私は黙々と膳を運び、叔父たちの杯に酒を満たしていきました。
「おお、美智子さん、気が利くねえ!」
座に座る本の伯父が、すでに呂律の回らない声で叫びました。
「修君は本当にした男だよ! 会社も順調で、こうして親族をまとめてな。子どもが産めない嫁をも見捨てずに事にして、所じゃ菩薩のような旦だって評判だぞ!」
親戚の叔母たちが、斉に品な笑い声を漏らしました。
「本当にそうよ。普通のならとっくに縁されて放りされてるわよ」
「修さんにを向けて寝られないわねえ」
矢のようにり注ぐ無責任な侮辱。
かつての私なら、畳を見つめて涙をこらえていたはずでした。
けれど今、私のにはさざ波つちませんでした。
エプロンの代わりに締めた紺の帯の裏で、械は酷に、この部のすべての言葉を記録し続けていました。
計の針が、正午を指しました。
富がちがり、座敷の央で両をパンパンと打ち鳴らしました。
座敷が瞬で静まり返りました。
「皆様、本はお忙しい、田本にお集まりいただき、ありがとうございます」