"十五年間謝り続けた私に、夫は妹の子を差し出した" 第11話
修が「陸を養子にする」と発表したら、あんたは畳にを擦り付けて、「修さんとお母様のおかげで、子なしの私が救われました」って涙を流して謝するんだ。そうすりゃ、親戚たちもあんたの過を許してくれるんだからね』
「ええ。は、親戚の皆様ので、すべてをらかにさせていただきます」
私が抑揚のない声で答えると、富は満そうにを鳴らしました。
『分かればいいんだよ、分かれば! じゃあ遅れるんじゃないよ!』
方に通話が切れました。
私は静かに受話器を置き、机のに並べられたつの分い封筒に目を落としました。
奈緒と片岡弁護士のによってえられた、完全なる処刑のための類式でした。
第の封筒。佐々産婦科が発した公印付きの受診証。私の殖能が完全に正常であることの証と、に夫・田修が無精子症と確定診断を受け、医師からの告を妻に隠蔽した事実を示す診療記録の写し。
第の封筒。修の会社に対する百万円の銭消費貸借契約と、裁判所へ提準備が完した『民事保全法に基づく仮差押命令申』の正本。修の会社の全座を凍結し、自宅の産登記に差し押さえの登記を打ち込むための法な鉄槌。
第の封筒。子が作成した『陸の養育分担覚』の原本。
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子と再婚相とので交わされた、実子を放棄するための百万円違約条項付き『婚』の写し。そして、陸くんに渡された脅迫メモの写真と、昨夜の録音データを文字起こしした陳述。
さらに、奈緒からは先ほど、決定な追加報告が入っていました。
子の再婚相である医療法の族は、方の名であり、息子の再婚相となる子の素に以から信を抱いていました。
相方の親族はすでに興信所を使い、子の元調査をめていたのです。
奈緒は片岡弁護士のルートを通じ、相方の顧問弁護士宛てに、子が実子を兄夫婦に法に押し付け、婚の条項を偽装して婚姻を結ぼうとしている事実を、客観証拠とともに通するはずを完させていました。
その通が相方の元に届くのは、まさに、曜の午でした。
完璧な包囲網でした。
堀はすべて埋まり、逃げは寸分違わず塞がれました。
あとは、あの絢爛豪華な本の広で、自らの虚栄に酔いしれる悪たちの臓めがけて、私が直接この刃を突きてるだけです。
曜の朝。
初のたい朝が、寝の障子をく照らしていました。
私は鏡のに座り、指定された紺の訪問着に袖を通しました。
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帯をきつく締め、背筋をすっと伸ばします。
鏡に映る自分の顔は、かつて義母の声に怯え、夫の嫌を伺って縮こまっていたれな女の面など、どこにも残っていませんでした。
静謐で、徹で、筋の迷いもない瞳。
私は帯揚げの裏側の目たない位置に、極型のICレコーダーを丁寧に滑り込ませました。
録音ボタンを押し、作ランプが確実に点滅しているのを確認します。
寝のドアがき、仕てのいい濃紺のスーツにを包んだ修が入ってきました。
首元には級なシルクのネクタイを締め、首には親戚に見せつけるためのロレックスがっています。
「おい、美智子。準備はできたか?」
修は鏡のの私を瞥し、満そうにの端を吊りげました。
「うん、悪くないな。その着物なら、うちの格式にも見劣りしない。いいか、今の主役は俺と田だ。親戚ので、おが余計な恥をかかせるような真似はするなよ」
修は私の肩にを置き、あの、にタコができるほど繰り返してきた台を吐き捨てました。
「今でおも、名実ともに田の跡取りの母親だ。子どもを産めないおをここまで引きげてやったんだから、俺に謝しろよな」
肩に置かれた男のから、温かい体温が伝わってきます。
その触に、かつてならじていたはずの堵は切なく、ただただ吐き気を催すほどの汚らわしさしかありませんでした。
私は鏡越しに夫の目をまっすぐに見据え、元にく、完璧な微笑を浮かべました。