"十五年間謝り続けた私に、夫は妹の子を差し出した" 第8話
「法にそんな理屈は通用しないわよ」
奈緒は即座に類を指で弾きました。
「婚姻にあなたが個で築いた特財産よ。婚の財産分与の対象にすらならない、純然たるあなたの個債権だわ」
奈緒はパソコンのキーボードを叩き、修の会社の商業登記簿謄本と、私たちが暮らす自宅の登記事項証を画面に呼びしました。
「見て、美智子。修さんの会社、先しいの導入で元の信用庫から額の設備資融資を受けているわ。そして自宅には、その融資の担保として根抵当権が設定されている」
「つまり……どういうこと?」
「この契約を元に、私たちが今すぐ裁判所へ『債権保全に基づく仮差押命令』を申してたら、修さんの会社の座は即座に凍結されるわ。信からの信用も失墜して、追加融資はストップ。連鎖に資ショートを起こすわね」
奈緒は徹に言い放ち、鏡をして私をまっすぐに見つめました。
「美智子、本気なのね? これを引きを引けば、あの男の会社は違いなく傾くわよ」
「ええ。加減するつもりは切ないわ」
私は膝ので両を揃え、静かに息を吐きました。
「、私の尊厳を踏みにじり、子どもが産めない体だと嘘をついて私を縛り付けてきたよ。私の父ので建てたので、あのたちがどれだけ劣な宴をこうとしているか、すべて暴いてやるの」
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奈緒の瞳に、いが宿りました。
「分かったわ。提携している片岡弁護士と緒に、申して類のドラフトを至急で作成する。裁判所への提は、あなたの図つで即けるようにしておくわ」
「お願い。でも、まだ提は待って」
私は奈緒の机のの類を指先でえました。
「あのたちが番油断して、自分たちの勝利を確信している瞬に、逃げを完全に塞いでから叩き潰すわ」
奈緒は頼もしそうに元を緩め、く頷きました。
事務所をると、のがく垂れ込め、肌を刺すようなが吹き抜けていました。
元のスマートフォンが震え、画面に夫からのいメッセージが表示されました。
『今夜、子と陸が来る。余計なしはするなよ』
私は画面を消し、え切った指先をコートのポケットに沈めました。
台は、着実にいつつありました。
曜の夜。
玄関の呼び鈴が乱暴に鳴り響きました。
ドアをけると、きついの匂いとともに、毛皮の襟巻きを巻いた子が姿を現しました。
「こんばんはー! 寒かったわ、美智子さん、くがらせてよ」
子は挨拶もそこそこに、脱ぎ散らかしたブーツをそのままにして廊をがってきました。
その背から、きすぎるランドセルを背負ったさな男の子が、恐る恐る入ってきました。
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陸くんでした。
用のジャンパーの袖は黒く汚れ、襟元から覗く首筋は痛々しいほど細く頼りなげでした。
「陸、突っってないでがりなさい! 靴くらい揃えられないの!」
子の甲い罵声に、陸くんの肩がビクッとねました。
男の子は慌てて靴を揃えようとして、玄関のたたきに膝をつきました。
「陸くん、寒かったでしょう。に入ってを洗ってね」
私が屈み込んで声をかけると、陸くんは怯えたように目を伏せ、蚊の鳴くような声で「はい」と答えました。
居ではすでに、修が嫌で缶ビールをけていました。
テーブルのには、私が用した煮込みハンバーグとポテトサラダ、根の煮物が並んでいます。
「おう、子、来たか! 陸、こっちへ来い。おの好物を作らせておいたぞ」
修が座布団のから招きしました。
陸くんは母の顔を伺いながら、恐る恐るテーブルの端に腰掛けました。
子は私の作った料理を瞥すると、で笑いました。
「相変わらずなご飯ねえ。まあいいわ、お兄ちゃん、これ見てよ!」
子はブランド物のバッグから、宝のカタログと級旅館のパンフレットを取りし、修のに広げました。
「向こうのお義母様がね、結納の席は格式のあるところでやりたいっておっしゃるのよ。私の着物も調しなきゃいけないし、向こうの親族への産だって物は配れないでしょ? 支度として、最でも百万は必なんだけど」