"十五年間謝り続けた私に、夫は妹の子を差し出した" 第3話
胃の底から、焼けるようない液体が競りがってきました。
しみではありませんでした。
涙の滴すら、ませんでした。
ただ、臓の奥底で、かつて経験したことのない徹な炎が、音をてて燃え盛るのをじていました。
私は息を殺したまま、音をてずに階段をがり、階の納戸へ戻りました。
鏡に映った自分の顔を見つめました。
青ざめ、しかしその瞳は、獲物を射抜く直の獣のように静まり返っていました。
泣いている暇など、秒もありません。
この分の侮蔑と搾取を、円たりとも、言たりとも見逃さず、あいつらの喉元に突き返してやる。
私のは、すでにスマートフォンの画面を操作していました。
翌朝、私はいつも通りに朝を並べました。
修のに焼き鮭と汁巻き卵を置き、湯気のつ噌汁を差しします。
「美智子、納戸の片付けは終わったか?」
修はネクタイを締めながら、当たりのように私を見げました。
「ええ、体はね」
「そうか。週末には子と陸を呼んで、本格に荷物を運び込ませるからな。お、陸の好きなハンバーグでも作って待っててやれよ。母親らしいところを見せる絶好の会だろ」
「……そうね」
「おもこれで、肩の荷がりるだろ? 俺に謝しろよな」
修は嫌で靴を履き、勤していきました。
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玄関のドアが閉まった瞬、私の表から切の温度が消えました。
私は支度をえ、黒いトートバッグをに取ってをました。
向かった先は、内にある「佐々産婦科・殖医療センター」です。
、私たちが妊治療のために通った病院でした。
受付で分証を提示し、窓の事務員に用件を告げました。
「個報保護法に基づく、私自の診療録示請求をお願いします」
事務員は怪訝な顔をしました。
「のものになりますと、のカルテの倉庫保管期を過ぎている能性がございますが……」
「医療法で定められた保期はですが、殖医療に関するデータや術記録は、病院規定で期保管されているケースがいと伺いました。マイクロフィルムかスキャンデータで残っていませんか。私の、田美智子の受診証が必です」
私が平然と、かつ法な用語を正確に並べると、事務員は姿勢を正して奥の医事課へと消えていきました。
待のいプラスチックの子に腰掛け、たい緑茶を喉に流し込みました。
周囲には、お腹のきな若い妊婦や、寄り添いう夫婦の姿がありました。
かつて、私もあの所にいました。
自分を責め、神に祈り、理が来るたびにトイレで声を殺して泣いていたあの頃の私が、馬灯のように脳裏をかすめます。
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あの、隣で私の背をさすっていた修は、どんな顔で私を見ていたのか。
「お待たせいたしました」
、医事課の責任者らしき男性が、分い茶封筒を持って現れました。
会議に通され、封筒から取りされた類のコピーが私のに置かれました。
「子化の移期のデータが奇跡にサーバーに残っておりました。こちらが、当の田美智子様の検査結果および診療記録の示文です」
私は震える指先で、面をめくりました。
排卵周期、正常。
卵管通過障害、なし。
子宮内膜、正常値。
ホルモン値、すべて基準範囲内。
『らかな妊原因となる器質疾患は認められず』
そして、医師のカルテの最終ページ、きの備考欄に、殴りきのような黒いインクの文字が残されていました。
『夫君・田修氏の精液所見、精子濃度ゼロ(無精子症)。泌尿器科専医への紹介状を交付。本へ告済。妻への病状説は夫本よりうとのい望があり、当院からの直接説は見わせる』
活字が、鋭い針となって私の網膜を刺しました。
っていた。
修は、最初からっていたのだ。
自分が子どもを作れない体であることを、医師から直接宣告されていたのだ。
それを私に隠し、「原因だが俺はおを責めない」という美談にすり替え、実の母親と結託して、私を「欠陥品」
として飼い殺しにしてきた。
「……ありがとうございます」