"十五年間謝り続けた私に、夫は妹の子を差し出した" 第2話
「そんなの……陸くんはどうなるの?」
「だから、俺たちが引き取るんだよ」
修は事も無げに言いました。
「美智子、おずっと母親になりたかっただろ。子どもを産めないおに、俺が母親になるチャンスをやりたいんだ。分の、俺からの最のプレゼントだとってくれ」
喉の奥が、ぎゅっと締めつけられました。
プレゼント。
歳ののを、このはプレゼントと呼んだのです。
「待って。そんなきな話、どうして今夜急に……」
「急じゃないよ。母さんとも子とも、先から段取りをつけてある。美智子はパートのをし減らして、陸の学の送り迎えと飯の面倒を見てくれればいい。おもこれで、親戚からろ指を指されずに済むだろう?」
修の瞳の奥に宿っていたのは、私への配慮などではありませんでした。
それは、自分のい通りに駒を配置し終えた男の、傲な達成でした。
「おだって、子どものいないは寂しかったはずだ。俺の言う通りにしていれば、すべてくいくから」
修は私のを軽く撫でると、それ以の会話を拒むように背を向け、すぐに規則正しい寝息をて始めました。
暗の、私の臓だけが、気な警鐘のように鐘を打っていました。
の午。
私は修から言いつけられた通り、階の納戸を片付けていました。
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陸くんを迎えるための部を作るため、実から持ってきた古い段ボールを移させていたのです。
埃で喉がいがらっぽくなり、お茶をもうと階段をりたときでした。
台所の奥、勝のパントリーのあたりから、義母のひそやかな声が漏れ聞こえてきました。
「……だから、配いらないって言ってるでしょ」
ち止まりました。
義母はスマートフォンのスピーカーをオンにして、誰かと通話していました。受話から漏れしているのは、義妹・子の甘えたような声です。
『でもお母さん、美智子さん、本当に文句言わずに陸の面倒見るかな。もし途で投げされたら、私の再婚話、破談になっちゃうよ』
「投げすわけないじゃないかい」
義母がでせせら笑う音が、静まり返った廊に響きました。
「あの子はね、ずっと『自分が子どもを産めないせいで田に迷惑をかけている』ってい込んできてきたんだよ。今さら嫌だなんて言える分かね」
背筋に、氷を気に流し込まれたような悪寒がりました。
が、に縫い付けられたようにかなくなります。
義母の声は、さらに酷に続きました。
「だいたいねえ、修のほうに原因があったことなんて、あの子は今でもにもってないんだから」
……は?
のが真っになりました。
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義母の言葉のが、すぐには脳に届きませんでした。
『ふふ、お兄ちゃんもが悪いよね。自分が無精子症だって分かったとき、泣きついてきたくせにさ』
子の笑い声が、の鼓膜を直接やすりで削るように響きます。
『お母さんが「美智子さんに全部被せなさい」って言ってくれなかったら、今頃お兄ちゃん、親戚からどんな目で見られてたか』
「当たりだよ。うちの男に瑕疵があるなんて世にれたら、田のの恥骨だよ。美智子さんには悪いけどね、子どもが産めない負い目があるからこそ、あの子は文句も言わずに私の介護もして、実のまで修の会社に差ししたんじゃないか」
義母がえたお茶をすする音が聞こえました。
「あの子は、修にをわせて謝して、うちのために骨を埋めればいいのさ。陸を押し付けられても、謝こそすれ、拒否なんてできるわけがないんだから」
『あはは、確かに! じゃあ陸の民票の異、来週そっちに移しちゃうね!』
通話が切れる子音が、ピッと鳴りました。
私は、に持っていた雑巾を握りしめました。
指先が刻みに震え、の甲の血管が浮きがっていました。
。
私が親戚のでをげ続け、義母に罵倒され、毎万円らずのパート代から費を削り、修の「俺は子どもがいなくてもおをしている」
という言葉に涙を流して謝してきた、あの。
すべて、計算された嘘だった。