"50年耐えた私が、息子の嫁に「一番怖かった」と言われた夜" 第6話
私は即座に、迷いなく答えた。
「健の方なんて、輪際しないわ。あの子が今直面している獄は、これまでに丸投げしてきたツケを自分で払わされているだけよ。由美さん、あなたのはあなたのもの。あんな男のために、あなたがすり減る筋いなんてどこにもない」
由美さんの肩から、微かに力が抜けた。張り詰めていた糸が緩んだように、細い息が漏れる。
「……よかった。それを聞いて、しました」
由美さんはちがり、コートの裾をえた。
「私、今朝、子どもを連れて実へ荷物を移しました。今から別居します。婚届も、すでにいて元にあります」
「そう。しっかりを向きなさい。何か困ったことがあったら、元・義母としてではなく、のとして力になるから」
「ありがとうございます」
由美さんは度だけ々と礼し、玄関へと向かった。引き戸をける直、背越しにさく言った。
「お義母さん。あのをてくれて、ありがとうございました。あなたがていかなかったら、私、まだし続けていたといます」
カチリと鍵が閉まる音がした。部に残されたえ切った湯呑みを見つめながら、私はく息を吐きした。
傷に浸っているはなかった。私が過に犯した罪のさを噛み締めながらも、今やるべきことはつしかなかった。
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あのが抱える「嘘」を、法律と制度の力で徹底に解体することだ。
昼過ぎ、私は指定された駅の政士事務所へ向かった。相談のい扉をけると、政士の松田さんと、紹介された弁護士の先がすでに類を広げて待っていた。
「よし子さん、お待ちしておりました」
先が鋭い鏡の奥の目をらせ、枚の図面を指し示した。
「法務局での登記事項証、並びに過分の固定資産課税台帳の精査が完しました。結論から申しげます。ご主の法なは、完全に消滅しています」
「消滅……ですか」
「ええ。に先代がくなられた際、よし子さんのご実が肩代わりした百万円の債務弁済。これに伴い作成された公正証に基づき、全体の所権はよし子さんの単独名義となっております。さらに、ご主が『俺の稼ぎ』と称して引きしていたアパートの賃料収入ですが」
先は、通帳のコピーが束になった分いファイルを叩いた。
「過分を遡るだけでも、よし子さんの個資産からの正な引きし、すなわち当利得は千百万円に達します。本、庭裁判所へ婚姻費用の分担請求、方裁判所へ共物分割請求および敷渡しの調申を正式に提いたしました」
「ありがとうございます」
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「ご主はまだ、建物全体の半分を自分が持っているという点にしがみついているようですが、の単独所者であるよし子さんから代の請求、あるいは建物の収・渡しを求められれば、勝ち目はありません。破滅を待つだけの状態です」
「けは無用です、先。すべて法に則ってめてください」
私がをげたその、鞄ののスマートフォンが激しく鳴した。
画面を見ると、健からだった。私は先に目配せをし、通話をスピーカーに切り替えて机のに置いた。
通話ボタンを押した瞬、鼓膜を破るような息子の声が響き渡った。
『母さん! どういうことだよ! 由美が子どもを連れててっちまったぞ!』
話の向こうで、荒い呼吸と何かが倒れるような物音が聞こえる。
『俺が仕事から帰ったら、由美のも子どもの荷物も全部消えてて、テーブルのに置きと婚届の用が置いてあったんだ! なんでだよ! 俺が何をしたって言うんだよ!』
「何をしたか、自分で胸にを当てて考えなさい」
私のえ切った声に、健が瞬言葉を詰まらせた。
『な……俺は親父とは違うぞ! 親父みたいに鳴り散らしたりしてない! ゴミしだって呂掃除だって、言われた事は伝ってきたじゃないか! なんで俺が親父と同列に扱われなきゃいけないんだ!』
「健」
私はく、静かに言った。
「『伝う』という言葉がること自体、あなたが庭を事だとっている証拠よ」