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"50年耐えた私が、息子の嫁に「一番怖かった」と言われた夜" 第2話

今から、このをていきます」

夫の眉がねがり、顔が瞬で赤黒く染まった。

「な、なんだと……? 本気で今すぐていくつもりなのか」

「男に言はないとおっしゃったのは、あなたの方です」

スーツケースを引き、夫の横をすり抜けて玄関へ向かう。 背から、慌てて追いかけてくる乱れた音が響いた。

「待て! お袋はどうするんだ! 朝飯は? 今のデイサービスの送りしは誰がやるんだよ!」

玄関のにりち、靴の踵を揃える。 振り返りもせず、引き戸の鍵にをかけた。

「それは、残されたあなたがなさることです」

「ふざけるな! 俺にそんなことができるわけないだろう!」

夫が伸ばしたが私の肩をかすめたが、半歩を引いてかわした。

「じゃあはどうする! 俺のから勝にていくなら、くらい置いていけ!」

朝のえ切った玄関に、みっともない声がこだまする。 私はち止まり、たい線で夫の顔を真っ直ぐに見据えた。

「もも、あなたの望み通りになさい。ただし、すべては現実の類に従うことになります」

「な……何を言ってるんだ?」

「これからは、ご自分の力だけで自由にきてください。分、本当にお世話になりました」

度だけをげ、引き戸を引いた。

のたい朝気が、頬を叩いた。 背で、膝の力を失った夫が玄関の框に崩れ落ちる音がした。

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「待て! おい、よし子! 待てって言ってるだろ!」

けない叫び声を背に浴びながら、私は度も振り返らずに坂をりた。

角を曲がったところでを止め、く息を吸い込んだ。 肺の奥を満たす朝の空気が、信じられないほど澄んでいる。 もの、私はあので息を詰まらせてきてきたのだと、その瞬に初めて気がついた。

コートのポケットので、スマートフォンが震え始める。 画面を見なくても誰からかわかる。夫だ。 音を消し、鞄の底へ沈めた。

向かったのは、駅から徒歩分ほどの所にあるさな産だった。 昨夜、夫から宣告を受けた直に目をつけておいた物件の管理会社だ。

午のと同にガラス戸を押す。 髪混じりの主に、用してきた護師免許の写しと預通帳、分証を差しした。

「で暮らせるさな部を探しています。今から入れるところはありますか」

齢の女性がスーツケースつで現れたことに主は瞬目を見張ったが、通帳の残と確実な受記録を確認すると、穏やかに鏡の位置を直した。

「駅からし歩きますが、階の角部が件空いています。即入居能です」

取り図に目を落とし、そので契約を頼んだ。 保証の欄に、息子の健の名をくつもりはなかった。

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息子を巻き込めば、必ず夫が息子を通じて連れ戻そうと画策する。 民の賃保証会社を利用する続きを選び、数料を現で支払った。

鍵を受け取ったで、私は駅の央福祉事務所へ向かった。 齢福祉課の窓で、顔馴染みの相談員である田さんを呼びす。

「よし子さん? どうされたんですか、改まったお顔で」

私は帳から、義母の介護保険被保険者証のコピーと、あらかじめ用しておいた類を取りした。

「本付で、義母・静の主たる介護者の登録を辞退します」

田さんの表が固まった。

「辞退……? ですが、お義母様は介護4ですよ。ご主がおで見られるはずが……」

「今朝、夫から同居の解消を言い渡されました。男に言はない、今すぐていけと」

「えっ……」

「私はもう、あののではありません。今は実の息子である夫と、男の健が責任を持って対応すべきです。のデイサービスも、訪問入浴の事業者も、すべて夫が窓になるよう変更続きをお願いします」

田さんは息をみ、私の目を見た。 私の線に迷いが切ないことを悟ると、く息を吐いて類を受け取った。

「……承しました。法律、同居の男であるご主に第の扶養義務があります。よし子さんがそこまでご決断されたなら、役所としてもその方針でかざるを得ません」

「よろしくお願いします」

々とをげ、福祉事務所をにした。

駅のさな物用品にち寄り、湯呑みと急須、ぶりの茶碗をつずつ、そして真っな綿の布巾を枚買った。

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