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"年収2000万円の夫、その創業史に私の名前はなかった" 第7話

「直は途で持株会に部譲渡したりしたから、今は7%のはずよ」

完全な沈黙が、受話器を支配した。

義母も、理恵も、親戚の誰もが信じ切っていたのだ。収2000万円の直が会社の主であり、半の権利を握っているのだと。卒の嫁は、夫の慈によってその分けを預かっているだけの居候なのだと。

だが現実は、会社の議決権においても、潜な資産価値においても、私の方が圧倒に位の創業株主だった。

『嘘でしょ……じゃあ、お兄ちゃんより彩さんの方が、会社に対する権利がきいの……?』

「権利ので威張るつもりはないわ。会社をかしているのは現の従業員だし、直が役員として営業を広げてきた功績は本物だから。でもね、理恵さん」

私は声を段、くした。

「私は誰のおにもぶらがっていないし、養われているわけでもない。配当だって、私の個の座に毎正当に入っているわ。活費に回さず、美緒の将来のためにをつけずに置いているだけ」

『……私、さっきお兄ちゃんに話したの』

理恵の声が、微かに震えていた。

『その記事のスクショを送って、「これ本当なの? なんで彩さんが資者なの?」って問い詰めたのよ。そしたらお兄ちゃん、何て言ったとう?』

理恵はスマートフォン越しに、録音した通話の音声を再した。

スピーカーから、夫の揺した、みっともない声が響いてくる。

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『……理恵、余計なこと調べるなよ。彩は自分から柄を言うようなやつじゃないんだ。昔の端をし入れただけだろ。今の会社をここまでデカくしたのは俺の営業力だ! 母さんには絶対に言うなよ、余計な混乱を招くだけだからな!』

『お兄ちゃん、最よ。彩さんが資までしてくれたから会社が始まったんじゃない。それを「端」って何よ! お母さんがあんな酷いこと言った、どうして言わなかったのよ!』

『うるさい! 俺のも考えろ!』

そこで通話は方に切れていた。

受話器の向こうで、理恵がく息を吐きす。

『けないわ、お兄ちゃん。あんなに母親ので黒柱のフリをして威張り散らして……自分ひとりの力で成りがった顔をして。私、お母さんにも言ってやりたい。お母さんがスポンジ投げつけた相は、お兄ちゃんより偉な創業株主だったのよって!』

「いいえ、言わなくていいわ」

私は徹に遮った。

「え……どうして?」

「お義母さんにあなたが話しても、『彩に言いくるめられた』と解釈して、論点をすり替えるだけよ。それにね、理恵さん」

私は窓のに広がる、の空を見つめた。

「これは、直が自分ので、自分の母親に言わなければならないことよ。ので暴されて恥をかくだけじゃ、あのは変わらない。自分がどれほど卑怯な嘘のにっていたのか、自分の言葉で解体させなきゃがないの」

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理恵は圧倒されたように息を呑み、さな声で『……分かった』と呟いて話を切った。

方を作る必はない。同を引く必もない。ただ、真実の堀を本ずつ埋めていくだけでいい。

そのの夕方、私は本社から数駅れた所にある、会社のセントラルキッチンへ向かった。

週に数回、助言業務として入っている現だ。清潔なにを包み、キャップをく被る。ステンレスの調理台ので、商品の調料の配と、加のテストデータをチェックしていた。

「彩さん、精がるね」

背から声をかけてきたのは、髪の混じった髪にエプロン姿の男性――社の奥田さんだった。

16、あの暗い厨で、緒に朝まで皿を洗った。

「奥田社、お疲れ様です。サンプルの試作、塩分濃度を0.2%落としました。これならチルド配送しても旨がぼやけません」

「助かるよ。やっぱりの根幹は、彩さんが見てくれないと決まらないな」

奥田さんは元のクリップボードに目を落としながら、ふと私の顔を覗き込んできた。

「……何かあったか?」

「いえ、特には」

「直の様子が、ここ数おかしいんだよ。役員会でもの空だし、記映像の捗チェックでも、妙にピリピリして現に当たり散らしてる。おたち、夫婦で何か揉めてるんじゃないだろうな」

奥田さんの目は誤魔化せない。

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