"孤児の私に、婚約者が買い与えた「偽物の両親」" 第13話
「ち、違う! 俺は本当に――」
「は破棄してください」
私は踵を返した。
「自分の保のために私を裏切ったと、歩める未来なんて秒もないわ」
「美咲! かないでくれ、美咲!!」
背でけない叫び声ががった。
音が追いかけてこようとしたが、通りかかった警備員が審そうに旬を制止するのが、ガラスの反射越しに見えた。
私は度も振り返らなかった。
横断歩の青信号を渡りきった、胸の奥にあった最の残骸が、綺麗に消えっていた。
鉄の改札を抜け、ホームへりる。
ベンチに腰掛けると、スマートフォンが震えた。
莉奈からの着信だった。
「もしもし、莉奈?」
『美咲! 今、丈夫?』
受話器の向こうの莉奈の声は、驚きと興奮に満ちていた。
『さっき、文恵先から聞いたんだけど……神さんの、親戚で揉めになってるらしいよ』
「……親戚で?」
『うん。あの料亭にいた叔父さん、神の本の鎮なんでしょ? 親戚同に今回のペテンを全部ぶちまけたらしくてさ。「者を冒涜し、詐欺まがいの役者を雇って族を騙そうとした」って、お義母さん、親族会から完全に締めされたんだって』
「そう……」
『それだけじゃないよ。町内会でも噂が広まったらしくて、あのお義母さん、所の目が怖くてにもられない状態らしいよ。世体、世体って騒いでたが、番みっともない形で世から孤したんだってさ』
に当てたスマホから、乾いたの音が漏れる。
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自業自得。
ただ、その文字だった。
『神さんもね、会社で噂がったらしくて、方の支社へ異願いをしたらしいよ。京にいられなくなったみたい』
「莉奈」
『ん?』
「教えてくれてありがとう。でも、もういいの」
私は静かに言った。
「あのたちがどうなろうと、もう私のには関係ないから」
話の向こうで、莉奈がふっと息を緩めたのが分かった。
『……うん。そうだよね。美咲がそう言うなら、私ももうあいつらの話はしない』
「ありがとう。……今夜、うちに来るでしょう?」
『もちろん! 文恵先と緒に、鍋の材料買い込んで押しかけるからね。覚悟しといて!』
「待ってる」
通話を切り、私は画面を伏せた。
がホームに滑り込んでくる。
が吹き抜け、私は迷うことなく両へと乗り込んだ。
しく借りた部は、駅から徒歩分の静かな宅にある、築浅のワンルームだった。
向きの窓から、柔らかなの陽射しが差し込んでいる。
まだ具のないフローリングの部は、驚くほど静かで、驚くほど広かった。
段ボール箱をけ、類や本を本棚へと並べていく。
その、玄関のインターホンが鳴った。
宅配便だった。
受け取ったのは、さなの封筒。
差の欄を見て、が止まった。
『子』
あのリハーサルの。
私の歪んだベールを直し、「とても綺麗よ」と言ってくれた、あの代役者の女性だった。
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封を切り、を取りす。
きの便箋が枚と、に挟まれた枚の写真。
便箋をく。
丁寧で、芯のある文字が並んでいた。
『美咲様
突然のお、お許しください。
事務所を通じて、契約が正式に解除され、お式が止になったと伺いました。
まずは、私の至らなさにより、美咲様のおにい傷をつけてしまいましたことを、改めてよりお詫び申しげます。
あの、控でお撮りした写真をお送りいたします。
本来であれば破棄すべき記録ですが、どうしても、美咲様にお渡ししなければならないとじました。
鏡のでち尽くしていたあなたの瞳は、誰よりも気く、美しかったです。
私は役者として、様々なご庭のとを見てまいりましたが、あなたほどご自ので真っ直ぐにっていらした嫁様を、にじげません。
誰かの都で用された席など、あなたには最初から必なかったのだといます。
どうか、ご自の歩んでこられた々を、誇りにってください。
見ずらずのの勝な願いではございますが、美咲様のこれからの々に、温かながり注ぐことを、よりお祈り申しげております。
子』
を置き、から写真を引き抜いた。
あのの、礼拝堂の控。
純のウェディングドレスを着た私が、い表で鏡を見つめている。