"孤児の私に、婚約者が買い与えた「偽物の両親」" 第8話
親戚から笑いものにされるわ」
録音のマイクが、静寂のでその声を確実に拾っている。
私は奥歯を噛み締め、さらに言葉を促した。
「払い、ですか」
「そうよ! 片親すらいない女なんて、うちの格に傷がつくだけだわ。旬がどうしてもってすがりついて泣きつくから、私がこうして恥を忍んで、おを払って筋きをえてあげているんじゃないの。これくらいのをかけて体裁を取り繕うのは、うちのためだけじゃない、あなたのためでもあるのよ。謝してほしいくらいだわ」
謝。
度目の、その言葉。
「謝、ですか。私のをすべて嘘に塗り替えていただくことに?」
私の声の調子が変わったことに、恵子は気づかなかった。
ただ、反抗な響きをじ取ったのか、眉を吊りげて声を荒らげた。
「気ね! 誰のおかげで派な嫁になれるとっているの! みっともない過を消してあげようっていう私の親を、何だとっているのよ!」
「よく分かりました」
私はすっと背筋を伸ばし、類を丁寧に揃えてちがった。
「分に理解できました、お義母様のお考え」
「……なによ、急にって。まだ話の途でしょう!」
「資料はすべてに入りましたので。これ以、おを煩わせる必はありません」
私は々とをげた。
完璧な、儀礼な礼。
「失礼いたします」
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「ちょっと、美咲さん! 旬がもうすぐ来るのよ! 美咲さん!」
背で響く切り声を無し、私は玄関へと歩いた。
靴を履き、い引き戸をけてへる。
夜のたい空気が、照った頬を撫でた。
ポケットのの録音を止める。
分秒。
恵子の放った侮蔑と、詐称を指示する々しい肉声が、完璧な音質で保されていた。
スマートフォンを取りすと、代会社『ファミリー・パートナーズ』の予約完メールに記載されていた問いわせ用番号が目に入った。
計を見る。午分。
営業は午まで。
私は躊躇うことなく、その番号をタップした。
翌朝。
私は休暇を取得し、宿の雑居ビル階にある『ファミリー・パートナーズ』の京オフィスを訪れていた。
受付で呼びしボタンを押すと、やがて奥のドアから、昨のリハーサルで見かけたスーツ姿の男性――代表の野と名乗る男が現れた。
「これは、佐藤美咲様……。昨は変失礼いたしました。本はどのようなご用件で……?」
野の顔には、らかな警戒のが浮かんでいた。
依頼主である旬を通さず、婦本が単で乗り込んできたのだ。無理もない。
「昨の契約について、事実確認に伺いました。分だけおをいただけますか」
私の落ち着き払った態度に気圧されたのか、野はさく頷き、奥の狭い応接へ私を通した。
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テーブルを挟んで向かいう。
パーテーションの向こう側に、昨の役者――子さんが直して待している気配があった。
私はバッグから、用してきた枚の類を取りし、テーブルの央へ滑らせた。
枚目は、式が発した婚礼規約の写し。
条の禁止事項――『式内における虚偽の元提示、および秩序を乱す偽装演の禁止』の部分に、蛍ペンで太い線が引いてある。
枚目は、の取引細。
私個の名義座から共同座へ移され、そのまま御社へ振り込まれた万円の送記録だった。
「……これは?」
野が眉をひそめた。
「順を追って事実だけを申しげます」
私は帳をくこともなく、平然と言い放った。
「郎である神旬様は、婦である私の同を得ず、私個の活資を流用して御社へ親族偽装を発注されました」
野の目がかすかに泳ぐ。
「私どもは郎様から、ご婦様ものサプライズ演だと伺っておりまして……契約の備は切――」
「御社の社内規定はどうあれ、式側の規約違反です」
私は野の言い訳を静に遮った。
「私は当該挙式の正式な契約当事者です。婦のなき親族代が式へ持ち込まれている事実を、私が今から式運営会社、および提携ホテルグループのコンプライアンスへ実名で通報した、何が起きるかお分かりですか?」
野の喉仏が、さくねた。