"孤児の私に、婚約者が買い与えた「偽物の両親」" 第6話
旬はし驚いたように目をしばたたき、それから堵したように息を吐いた。
「あのさ、昼は……本当に悪かった。俺もパニックになってて、言い方がキツくなった。おがるのも当然だとう」
旬はテーブルのにコンビニの袋を置いた。
から、私が普段好んでべる価なプリンと、温かいハーブティーのペットボトルを取りす。
罪悪を埋めるための、っぽい産。
「お、夜ご飯べてないだろ? 何か作ろうか。雑炊でも温めるよ」
甲斐甲斐しくこうとする背を、私はややかに観察した。
このはいつもこうだ。
本質な対から逃げるため、目先の優しさで相を丸め込もうとする。
「いいえ、お腹は空いてないわ」
私はパソコンをパタンと閉じ、わざとくため息をついた。
疲労に折れかかった女の芝居を打つ。
「……し、考え直していたの。昼はに血がりすぎていたかもしれないって」
旬のが止まった。
振り返ったその顔に、あからさまな期待のが浮かぶ。
「本当に? 分かってくれたのか?」
「ええ。神のご親戚が厳しい方ばかりなのは、々から聞いていたし……あなたが板挟みになって苦しんでいたのも、事実だものね」
「そうなんだよ!」
旬は勢いよくテーブルのに膝をつき、私のを握ろうとしてきた。
私は膝のに置いたブランケットを直すふりをして、そのを自然に避けた。
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「俺だって、美咲を傷つけたいわけじゃないんだ。でも、母さんは度言いしたら聞かないだし、親戚の、どうしても『ちゃんとした柄の娘さん』って形にしておかないと、で美咲が何を言われるか分からないだろ? 俺はおを守りたかったんだよ」
守りたかった。
莉奈を排除し、文恵先を隠し、私のをに演じさせることが、この男にとっての「守る」ことなのだ。
吐き気を覚えるほどの欺瞞だった。
だが、私はさく頷いてみせた。
「、お義母さんのところへ台本の確認にくわ。ちゃんとに入れて、当は失礼のないようにする」
「母さんから連絡あったのか! ああ……よかった。本当にしたよ」
旬の肩から、目に見えて力が抜けた。
私の従順な態度を信じ切った男は、完全に警戒を解いていた。
「俺、シャワー浴びてくるよ。汗かいちゃってさ」
「ええ、ごゆっくり」
旬が脱所へ向かい、やがて浴から勢いよくシャワーの音が響き始めた。
私はちがった。
音を忍ばせ、ダイニングの子に置かれた旬の革製ブリーフケースにづく。
チャックをける。
番奥の蛇腹ポケットに、見覚えのあるロゴが入ったの角形号封筒が差し込まれていた。
『株式会社ファミリー・パートナーズ 御契約類式』
を引きす。
テーブルのに広げ、スマートフォンのスキャンアプリを起した。
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枚目。
『親族代基本業務委託契約』。
甲:神旬。
乙:株式会社ファミリー・パートナーズ。
発注内容:『結婚式・披宴における婦両親役の派遣(名体制・終拘束・事リハーサル及び個別設定台本作成オプション含む)』。
額欄を見る。
基本代費:万円。
特急配及び特別台本作成費:万円。
計:万円(税込)。
内訳の備考欄に、確な記載があった。
『申込着として万円、甲名義の指定座より受領済み。残額万円は本番までに決済のこと』
『特記事項:本契約は郎側の単独依頼に基づく。婦親族席の完全代およびいち設定の擦りわせを主目とする』
さらに、契約の末尾にある約款に目を落とす。
『第条(キャンセル規定)
お客様都による方な契約解除の、着の返には切応じられないものとする』
万円。
やはり、あの共同座から振り込まれた額と完全に致していた。
枚目、枚目には、式でのち回り指示、さらには旬が代会社に送った望のコピーが綴られていた。
『婦は児童養護施設のため、過の話題を振られた際は別添の「叔父夫婦養育設定」にて完全に受け流すこと』
『婦側の席者が審なきを見せた、スタッフと連携して速やかに接触を遮断すること』
接触を遮断。