"5万人が称賛する義母の、悪嫁は私だった" 第3話
育児ノートの記録。。【児科受診。空の体増加良を指摘される。医師より、母乳を控えカロリーの特殊ミルクへの完全切り替えをく指導される】
私自のではない。さくまれた空の命を守るための、医師からの厳格な医療指示だった。その診察結果を、私は泣きながら義母にも共したはずだ。
全部、っていた。事も、医師の言葉も、私の苦痛もすべて把握したで、図に事実を削ぎ落とし、私が「が儘で怠惰な母親」に見えるように物語を捏造していたのだ。
許せない。
しみは、すでに蒸発していた。指先の震えが止まり、の芯が恐ろしいほどえ冴えとしていく。
私はスマートフォンの画面キャプチャを起し、すべての投稿、付、コメント欄をつ残らず画像と画で保し始めた。クラウドの別フォルダを作成し、にバックアップを取る。
そして、投稿覧のさらに奥、ヶのリール画に目が留まった。
再ボタンを押す。
暗い寝。ベッドの端に腰掛け、両で顔を覆ってさく肩を震わせている女の姿。
私だ。
ボサボサの髪、伸びきった部着。疲れ果てて、泣いている私の姿が、無断で盗み撮りされていた。
《もう育てられない、と泣き叫ぶお嫁さん。私が駆けつけなければ、この子たちはどうなっていたことか。
広告
母親になる覚悟がりないのなら、最初から産まなければよかったのに》
胸の奥の温度が、完全に氷点まで叩き落とされた。
このアングル。寝の引き戸が、センチほどいている。廊の暗がりから、胸のさでスマートフォンを構えていなければ、絶対に撮れない角度。
……待って。
そのの記憶が、鮮に蘇る。
あの、夕方に激しい夫婦喧嘩をした。夜泣き対応の交代を頼んだ私に、夫の亮太が「俺はも仕事なんだよ!」と鳴り散らしただ。泣き叫ぶ双子をに、私は絶望して寝に逃げ込み、ベッドの端でで泣いた。
あの、に義母はいなかった。
義母が来るのは昼だけだ。平の夜に、あの廊にっていたは、この世にしかいない。
スマホを持つ私のが、くなるほどく握りしめられた。
撮したのは、義母じゃない。私の夫、亮太だ。
午分。玄関の鍵がガチャリと回る音がした。
「ただいまー」
いつもの、能気でし疲れたような亮太の声。着を脱ぎながらリビングに入ってきた夫は、テーブルのに微だにしていない私を見て、怪訝そうに眉をひそめた。
「なんだよ、気もつけないで。飯は?」
私は答えず、テーブルのにスマートフォンを置いた。画面には、先ほどのリール画が表示されている。
再ボタンを押した。
広告
青いのなかで、ベッドの端で泣き崩れる私の姿がさくきす。
亮太の線が画面に落ちた。その瞬、ネクタイを緩めていた夫の指が、ピタリと止まる。
「……あ」
喉から漏れたような、けない声。
「これ、誰が撮ったの?」
私の声は、自分でも驚くほど平坦だった。鳴りもしない。涙も流さない。ただ、事実だけを突きつける。
亮太は線を泳がせ、線をそうとした。
「いや……母さんが、記にって言うからさ」
「記?」
「そうだよ。ほら、母さん、孫の成を記録したいって言ってたし……最のお、余裕なさそうだったから、母さんも配しててさ」
「私が寝で泣き崩れてる姿が、孫の成記録なの?」
淡々と問い詰める私に、亮太は居悪そうに首をすくめた。そして、苛ちを隠そうともせずに言い放った。
「悪気はなかったんだよ! 母さんに『美紀さんの様子はどう?』って聞かれて、言葉で説するより見せた方がいとったんだよ。母さんだって配してたんだから」
「配?」
私は画面をタップし、画のに添えられた文章を亮太の目のに突きつけた。
『母親になる覚悟がりないのなら、最初から産まなければよかったのに』
亮太の瞳が揺れる。
「これ、読んだ?」
夫はをへの字に曲げ、沈黙した。
「答えて。読んだの、読んでないの?」
「……見たよ」
さな声だった。申し訳なさなど微もない、ただ追及から逃れたいだけの声。
「見たで、何も言わなかったんだ」
「だって……名、いてないだろ」
亮太はき直ったように息を吐きした。