"23年逃げた母が、娘のスマホの中にいた" 第7話
「……お母さん、これ」
美咲が差ししてきたのは、半、母が実の居で撮したという枚の写真だった。 母がコタツに入り、みかんをにして微笑んでいる、見すると微笑ましい常のコマ。
だが、美咲が指差したのは、母の背、茶箪笥の隅に置かれていた類の束だった。
画面を限界までピンチアウトする。 粗い画素の隙に、黒々とした朝体のタイトルが浮かびがった。
『源発計画に伴う用買収向調査』
差の欄には、誰もがるリゾート発会社の名が印刷されていた。
臓が、たく収縮した。
源。 。 それは、き父が所していた、のあの広な林のことだった。
自宅のリビングに戻ったのは、夜のを回った頃だった。
私は古い茶箪笥の引きしの奥から、度もけることのなかった桐の箱を取りした。 に入っていたのは、父がくなった直、父の親友であり元だった(おおこうち)さんから渡された通のだった。
『志保ちゃんへ。何か困ったことがあれば、いつでもわしを頼りなさい』
震える指で、に記された固定話の番号をプッシュする。 呼びし音が回ほど鳴った、く、しかし張りのある老の声が応答した。
『はい、ですが』
「さん……? 志保です。
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に、京へ逃がしていただいた……志保です」
受話器の向こうで、息を呑む気配がした。
『……志保ちゃんか! よく話をくれた。無事だったのか!』
さんの声は、堵と、切迫した緊張に満ちていた。
『実はな、おのところへ連絡しようと、ずっとを尽くしていたんだ。変なことになっているぞ』
「さん、実ののことですか?」
私の問いかけに、さんはく唸り声をげた。
『っていたのか。そうだ。あのの源帯に、京のリゾート会社が目をつけた。ミネラルウォーターの採取として、数億円規模の買収話が持ちがっているんだ』
数億円。 像もつかない数字に、話の横で息を詰めていた健と美咲が顔を見わせた。
「兄が……百万円を求してきました。実印と、包括委任状を寄こせと」
『絶対に渡すんじゃないぞ!』
さんの声が、受話器を震わせた。
『志のやつ、パチンコと裏カジノで千万円以の借を抱えて首が回らんのだ。おまけに、あのを勝に売っ払って、付けを懐に入れてへびする計画をてとる』
「でも、あのの名義は……父がくなった、どうなっていたんですか?」
『おは、何もらされていないのか』
さんの声が、悔しさに震えていた。
『正介(しょうすけ)さんはな、自分がぬ際、志の放蕩癖を完全に見抜いていた。
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だから、公正証遺言を残したんだよ。あの林の権利はすべて、誠実で優しい志保に単独相続させる、とな』
を槌で殴られたような衝撃だった。
私が、単独相続。
厄介者として追われ、棒猫と罵られ、実の負債を背負わされたとい込まされてきてきたのすべてが、根底から覆された。
『遺言はな、わしがずっと厳に保管している。当の志と清は、それを奪おうとわしのにまで鳴り込んできたが、渡すはずがない。志保ちゃんが京で平穏に暮らしているは、あいつらの毒から守るために伏せておくつもりだったんだが……発会社がきして、志が狂ったんだ』
点と点が、恐ろしい速さで本の線に繋がっていく。
なぜ、も放置していた私を、今になって呼びしたのか。 なぜ、病気だと嘘をついてまで、実に誘い込んだのか。 なぜ、美咲にも取り入り、私の況を探らせていたのか。
すべては、の正当な所者である私の考力を奪い、恐怖で支配し、数億円の権利を奪するための罠だったのだ。
「さん」
私の声から、すべての震えが消え失せていた。
「兄たちは、京へ来ます」
『なに?』
「曜までに百万円と実印を用しろと、脅迫されています。あいつらは、本気で私からすべてを奪う気です」
『志保ちゃん、屈してはならんぞ。わしが本物の遺言を持って、の幹線で京へく。役の登記正も、全部洗ってやるからな』