"23年逃げた母が、娘のスマホの中にいた" 第6話
「なりたかった。自分の力で稼いで、誰かを助ける仕事がしたかった」
「志保ちゃんが京へ逃げる夜、私におを借りに来たのこと、今でも覚えてるわ」
律子さんが、私のえ切ったを包み込んだ。
「『ここにいたら、兄のために殺される』って、震えながら泣いてた。私が渡した万円を握りしめて、夜列に乗ったのよ。逃げて正解だったの。あのまま実にいたら、あなたは骨の髄まで吸い尽くされて、ぼろ雑巾のように捨てられていたわ」
客観な事実。 第者の記憶。 美咲のスマートフォンのにあった『幸な祖母の物語』が、酷な現実の刃によって、音をてて切り裂かれていく。
「美咲ちゃん」
律子さんが、まっすぐに娘を見つめた。
「血が繋がっているからって、正しいとは限らないのよ。自分の子どもをい物にする親だって、この世には確かにするの」
美咲は唇をく噛みしめ、ただ静かに涙を流していた。
埼玉に戻ったそので、私は駅の方へと向かった。
窓で続きを取り、過分の取引履歴の示を請求する。 数料を支払い、待のい子で待つこと分。 渡されたのは、分い用の束だった。
毎。 私のパート代が振り込まれるのとほぼ同に、自送されていた記録。
『ムラカミ キヨ』 振込額、万円。
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で万円。 で百万円。 で、百万円を超える額。
用に押されたの公印が、私のの『誠』のさを証していた。
「……これ、全部……」
をたの喫茶で、細を見つめる美咲の指先が刻みに震えていた。
「毎、度も欠かさず送っていたわ。あのたちから逃げしたという罪悪を消すためにね。でも、あのたちにとっては、ただの都のいい遣い銭に過ぎなかった」
「おばあちゃん、私に言ってたの」
美咲が、消え入りそうな声で呟いた。
「『志保からは、度も仕送りなんてない。親を捨てた極悪だ』って……私、それを聞いて、なんてたいお母さんなんだろうって……」
「責めなくていいわ」
私はめたコーヒーに線を落とした。
「あのは、嘘と本当を混ぜるのが異常にいのよ。自分が番れに見えるように、事実を都よく切り貼りする。歳のあなたが見抜けるはずがない」
その、美咲のスマートフォンがテーブルので連続して震えた。
画面を覗き込む。 メッセージアプリの通が、滝のように流れてくる。
送り主は、もちろん母だった。
『美咲ちゃん、どうして返事をしてくれないの?』 『おばあちゃん、胸が苦しくて、昨の夜からもできていないのよ』 『志保が何を吹き込んだからないけれど、あの子の言うことを信じちゃダメ』 『美咲ちゃんだけが、おばあちゃんの方だとってたのに。
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おばあちゃん、もうすぐぬかもしれない』
々しいまでの、罪悪の植え付け。 相をに陥れ、自分の通りにかすための、使い古された。
美咲の呼吸が乱れ、画面から目を背けようとした。
「美咲、よく見て」
私は娘の首を、痛くない程度にしっかりと握った。
「これが、あののやり方よ。あなたが優しい言葉を返しているは『物分かりのいい良い子』。でも、度でも疑問を持ったり、い通りにならなくなったりした瞬、病気やを盾にして脅迫してくる」
美咲の瞳が揺れる。
「……本当だ」
美咲は、過のトーク履歴を、無言でへと遡り始めた。
の、美咲が共通テスト直で返信を遅らせた。 『おばあちゃん、倒れて救急で運ばれたのよ。美咲ちゃんがたいから』という文面。
の、美咲がサークルの宿で話にられなかった。 『もう美咲ちゃんにも見捨てられたのね。ででにます』という脅迫。
「私……ずっと、試されてたんだ」
美咲の声が震えていた。
「おばあちゃんの嫌を取るために、お母さんの様子を教えて……ご嫌取りのメッセージを送って……私、おばあちゃんがだから優しくしてたとってたのに」
「あなたは悪くない。でも、もうその呪縛からりなさい」
美咲はく息を吐きし、画面をスクロールするを止めた。
その指が、ある点で凍りつく。