"離婚半年後、元夫が15年前の弁当箱を抱えて訪ねてきた" 第6話
自分の価値を、自分で決める。
その当たりのみが、胸の奥をじんわりと温めていくのをじていた。
だが、現実はそう甘くはない。
週、公民館の掲示板と域のフリーペーパーに募集をしたものの、最初の反応は芳しくなかった。
「料理教で千円はすぎる」
「の先は千円でやってくれたのに」
窓にそんな苦を寄せてきた齢者もいたと、沼田さんから苦笑い交じりに聞かされた。
かつての私なら、パニックになって「やっぱり千円にします」と泣きついていたかもしれない。
けれど私は値げをしなかった。
代わりに、メニューの夫を凝らしたチラシを自作し、所の百や精肉にをげて置かせてもらった。
『余りがちな根本を、で綺麗にべ切る保と主菜』
『汁パックを使わず、煮干しと昆布で取る、翌朝まで濁らない黄の噌汁』
ターゲットを「さを求める」から、「本当に活のて直しを求めている」へと絞り込んだのだ。
結果として、催のには定員の名が満席となった。
迎えた初回のワークショップ当。
集まったのは、定退職を迎えて暮らしになった代の男性、暮らしの代のOL、そして所の主婦たちだった。
私はエプロンを締め、調理台のにった。
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緊張で指先がかすかに張る。
「皆さん、こんにちは。佐藤です。今は、スーパーで番くに入る豚切れ肉と根菜を使って、持つ豚汁と、めても柔らかい姜焼きを作ります」
包丁の握り方、根のいちょう切りのみ、豚肉の臭みを消すための茹での温度。
私が、誰からも褒められることなく、当たりの義務として毎繰り返してきたのき。
それを、参加者たちは息を呑むように見つめ、にノートにき留めていた。
「先、姜焼きのお肉って、タレに漬け込まない方が柔らかいんですか?」
定退職したばかりだという男性が、おずおずと質問してきた。
「そうなんです。お肉に軽く麦を叩いて先に焼き、タレは最に絡めるだけにすると、分が逃げずにパサつかないんですよ」
「へええ……! らなかった。内がいた頃は、何をべても当たりだとってたんですが……こんなに夫が詰まってたんですね」
男性の言葉に、胸の奥がくなった。
調理が終わり、全員で試用のテーブルを囲む。
「美しい」
「染みるなあ……」
「これなら、自分でも週末に作れそうです」
参加者たちの顔に、自然な笑みがこぼれていた。
片付けを終え、公民館の事務で沼田さんから渡されたい茶封筒。
には、領収と引き換えに受け取った、千円の現が入っていた。
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千円札枚。
パートの料とは全く違う、私の識と経験が誰かの役にち、謝とともに支払われたお。
封筒を握りしめた指先に、確かな力が宿るのをじた。
だが、その充実を切り裂くように、のポケットのでスマートフォンが激しく振した。
着信画面を見る。
『通オフ』をすり抜けるように、留守番話の転送ランプが点滅していた。
局番は、見覚えのない番号。
首をかしげながら再ボタンを押すと、受話器からびしてきたのは、息を切らした修の鳴のような号だった。
『美紀! 頼むから話にてくれ! 母さんが……母さんが倒れたんだ!』
背筋に、たい氷を押し当てられたような覚がった。
私は公民館の湯に入り、ドアを閉めてから、留守の主である見らぬ番号へ掛け直した。
呼びし音が回鳴ったところで、修が話を引ったくるようにた。
「美紀!? お、どこにいるんだ! 今すぐ済会病院に来てくれ!」
話の向こうから、救急来特の子音と、くで響くアナウンスが混ざりって聞こえてくる。
「何があったんですか」
私の声は、ながら驚くほどく、平坦だった。
揺を期待していたらしい修は、受話器の向こうで瞬言葉を詰まらせた。
「な、何があったって……母さんの膝だよ! 痛みが激しくなって歩けなくなって、さっき救急で運ばれたんだ。
膝関節置換術の術を受けることになった。来週の曜に決まったんだよ!」