"ICUを出たら、私の家に弟一家が住み着いていた" 第4話
終業、すぐに伺います」と答えてくれた。
午過ぎ、佐藤さんが約束通り、きめのトートバッグを抱えて病に現れた。
「主任、お顔のが……」
「丈夫よ。本当に助かったわ、佐藤さん」
預かったノートパソコンの板に触れると、慣れ親しんだ常の触が指先に戻ってきた。
私は以、企業の財務と経理を担当してきた。
数字の嘘を見抜き、契約の備を突き止め、会社の実態を徹に精査するのが私の仕事だ。
族という曖昧なに惑わされ、自分の元を監査することを怠っていたツケが、今この瞬に回ってきたに過ぎない。
佐藤さんが帰った、私はベッドのリクライニングを度まで起こした。
肋骨に鈍い痛みがるが、歯をいしばって耐える。
パソコンを起し、青いファイルボックスから冊のバインダーを取りした。
最初にいたのは、に購入した自宅の『登記事項証』だ。
表題部、権利部(甲区)。
【所者】 真由美
そこには、私の名だけが、はっきりと刻まれている。
持分の記載はない。つまり、単独所だ。
乙区の抵当権設定欄を見る。
井友の宅ローン。債務者、真由美。
、千百万円で購入した造階建ての軒。
当、くなった父の遺産分割協議で私が相続した百万円と、代からに貯めてきた自己資百万円、わせて千百万円をとして投入した。
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残りの千百万円のローンを組み、これまで度の滞納もなく、毎万千円を私の与座から引き落としで支払い続けてきた。
健は何の資もしていない。
父が遺した預貯の法定相続分として、当あいつは私と同額の百万円を現で受け取り、ろくでもない古ビジネスに注ぎ込んで半で溶かしたのだ。
その事実を、母も健も、綺麗さっぱり忘れた顔をして「族の」を自称している。
私はエクセルのスプレッドシートを規作成し、タイトルを打ち込んだ。
『千代子・健に関する支及び替細』
過分の通帳の入記録を、オンラインバンキングからCSVデータでダウンロードする。
画面に並ぶ、無数の数字。
母の国民健康保険料、毎万円。
母の血圧と膝関節の治療費、平均万千円。
母の費、費、雑費の補填、毎万円。
それだけではない。
、母が「膝が痛くて階段がつらい」と泣きついたに施した、階のバリアフリーすりとトイレ改修費用、万円。
、実の根瓦が崩れかけた際、私が全額て替えた修繕費、百万円。
すべて、私の個座から引きされていた。
母のは、額わずか万円程度だ。
到底活できるはずもなく、私が差額のすべてを埋めてきた。
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女だから。
未婚で、軽だから。
子どもを育てている弟より、私のほうが余裕があるはずだから。
そう自分に言い聞かせ、族を支えている気になっていた。
だが、シートの関数が弾きした計額を見た瞬、私の指先が凍りついた。
過で、私が母のために直接支した額の総額。
千百万円。
ため息すらなかった。
方都なら、さな古マンションが軒買える額だ。
さらに私は、弟の健に関する記録を洗った。
、健が「結婚して子どもがまれるから、これからは俺も母さんの面倒を見る」と宣言したの。
帳の切れ端に、歪んだ健の文字でかれた覚がファイルに残っていた。
『毎万円を母の活費として姉貴の座に振り込む』
その約束が履された回数を、通帳データから検索する。
該当件数、件。
最初のヶ、計万円が振り込まれたきり、あとは完全に途絶えていた。
健に話で催促するたび、「今は検だから」「子どものおむつ代が」「会社の業績が悪くて」と言い訳をねられ、最には母がに入ってきたのだ。
『真由美、健を責めないでおくれよ。あの子はの黒柱として必なんだから。あんたはおに困ってないんでしょう?』
そう言って、母は息子の義理を問にし続けた。
だが、本当の異常さは、その先にあった。