"娘が義母に叩かれた日、娘婿はケーキで済ませようとした" 第4話
「な? だからげさに弁護士なんててないで、に戻ろう。母さんの荷物だって、しずつ実に戻すよう俺から話すからさ」
美咲はゆっくりとを伸ばした。 だが、触れたのは直さんのでも、菓子の箱でもなかった。
鞄から取りした通の茶封筒を、直さんの目のに置いた。
「これは何だ?」
「『別居に関する協議申入』よ。弁護士の先が作成してくださったもの」
直さんの笑顔が凍りついた。
「……は? なんでこんなもの……」
「を見て。あのの所権が誰にあるか、購入資がどこからたか、すべて記録が添付されているわ」
直さんは震えるで封筒をけ、類に目を通した。 登記事項証、美咲単独名義の宅ローン契約、そして母からの贈与の証。
「俺は……俺だって、のリビングのリフォーム代、百万したぞ! 活費だって毎入れてる!」
直さんの声が裏返り、周囲の客がちらりとこちらを見た。
「ええ、その百万は把握してるわ。財産分与の協議の際に、正当に精算します」
美咲は極めて事務に、まるで病院の受付で患者に類を案内するかのような淡々とした調で言った。
「払ったものを、なかったことにはしない。でも、あなたが改修費をしたことと、あのの所権が私にあることは全く別の問題よ。お義母さんをまわせ続ける権利は、あなたにも、お義母さんにもない」
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「お……本気で言ってるのか? たかが回の平打ちで、夫婦の活を全部壊す気か!?」
直さんはついに本性を現し、テーブルを拳で叩いた。 『優しい夫』の仮面が剥がれ落ち、追い詰められた子供のような苛ちが顔を覆う。
「たかが回じゃないわ」
美咲はまっすぐに直さんの目を射抜いた。
「お義母さんが来てからのヶ、毎よ。そして、あなたはそのヶ、度だって私の方をしなかった」
「俺は板挟みで苦しんでたんだよ! 母さんを無にできるわけないだろ!」
「そうね。あなたは誰の悪者にもなりたくなかったのよ」
美咲はたく言い放ち、席をった。
「美咲!」
直さんがちがり、美咲の腕を掴もうとした。 私は席をち、のに音もなく割って入った。
「直さん」
私のい声に、直さんはハッと息を呑み、伸ばしたを引っ込めた。
「お、お義母さん……いつからそこに……」
「美咲に触らないでちょうだい」
直さんは顔を蒼にし、助けを求めるように私を見つめた。
「お義母さん、聞いてくださいよ! 美咲が急におかしくなっちゃって……お義母さんからも言ってやってください! 夫婦なんですから、度に戻って話しうべきだって!」
私は直さんの狼狽しきった顔を、ややかに見ろした。
「美咲はおかしくなんてなっていません。自分の権利を守るために、当たりのをしているだけです」
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「で、でも……!」
「娘が決めたことです。私があなたのために美咲を説得する筋いはありません」
直さんはをパクパクと閉させ、やがて悔しそうに唇を噛み締めた。 美咲は度も振り返ることなく、レジへと歩いていく。
テーブルのには、直さんが持ってきたの菓子折りが、ぽつんと取り残されていた。
「受け取れませんので、お持ち帰りください」
私が静かに告げると、直さんは屈辱に顔を歪めながら、乱暴に菓子の箱を袋に突っ込んだ。
そので、直さんは逃げるようにタクシーを拾い、自分の『』へと戻っていった。
そのの夜過ぎ、仮まいの静寂を破るように、美咲のスマートフォンに本の着信が入った。
画面に表示されたのは、直さんの妹であるリナさんの名だった。
美咲がスピーカーに切り替えると、受話器の向こうから、息を殺したような震える声が響いた。
『姉さん、夜遅くにごめん……。今、実から兄のに来てて……本当に、ドン引きした』
リナさんが送ってきた数枚の画像。
それらをいた瞬、私の背筋にたいものがった。
画面のでは、美咲が結婚から使っていたウォークインクローゼットが全にされ、美咲が丁寧に並べていた通勤着が、まるで雑巾のようにに散乱していた。
『母がね、姉さんのを全部放りして、自分の派なニットを掛けてるの。