みかん小説
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"五十七回の夜と、四十七枚の告発" 第3話

私はバッグの底から、帳のメモ用を枚引き抜いた。そこには、先私がで契約を結んだ賃貸ワンルームの所がりきされていた。

荒川区の古い宅にあるそのさな部は、加亭のある本から鉄を乗り継いで分ほどの距にあった。契約した点では、確な計画があったわけではなかった。

ただ、健の帰りを待たずに済む所が欲しかった。夜、玄関の鍵がガチャリと回る音に怯え、臓をねがらせながら目を覚ます必のない、静かな空を確保しておきたかったのだ。

契約に署名した、配のから「どれくらいの期借りる予定ですか」と尋ねられ、私は「とりあえず半です」と答えていた。

あのは半という期が果てしなくいものにえたが、いざをてみると、半など自分のをて直すにはすぎるのではないかとじられた。

私は鉄の駅へと階段をり、改札を抜けて始発のに乗り込んだ。内には、朝勤を急ぐ会社員たちの姿がまばらにあった。

吊り革に掴まったまま居眠りをする者、背を丸めてスマートフォンの画面を指でスクロールし続ける者。誰も、残りの張りを抱えて隅につ私の姿など気にも留めなかった。

私は両の連結部分の壁に肩を預け、自分のから漂ってくる、乾きかけの澱糊の酸っぱい匂いを静かに吸い込んだ。

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目の駅でし、駅から分ほど歩いたの奥に、築数の古い階建ての雑居ビルが建っていた。エレベーターのない建物だった。

私は段ボール箱を抱えるようにの束を抱え直し、段ずつ階段を階まで登り詰めた。鍵穴に鍵を差し込んで回し、部のへ入ると、即座に内側からに鍵を掛けた。

部は驚くほど狭かった。シングルベッドが台、さな製の机が脚、そして細のクローゼットがつあるだけで、のスペースはほとんど埋まっていた。

窓のには、隣の雑居ビルの赤レンガの壁が迫っており、当たりはお世辞にも良いとは言えなかったが、内は隅々まで清掃がき届いていた。

先週のうちに度掃除に訪れ、模様のない無のグレーのベッドシーツを敷いておいたのだ。私は机のに張りの余りを置き、パイプ子に腰をろした。

その瞬、自分の全がガタガタと激しく震えていることに気がついた。寒さによる震えではなかった。骨の奥底、関節の隙からいがってくるような、抑えようのない悪寒だった。

私は自分のでの首をく掴み、爪がくなるほど力を込めて震えを止めようとしたが、体の痙攣は収まらなかった。顎の筋肉が引き攣り、の歯がカチカチとぶつかりって乾いた音をてた。

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私は首をしてちがり、狭い部のを歩んで窓辺へとづいた。磨りガラスをけると、目のには隣の建物の湿った赤レンガの壁がちはだかっていた。

壁の隙からはエアコンのが突きており、そこから垂れ落ちる滴が、レンガの表面に黒ずんだ本の筋を作っていた。私はその染みを見つめながら、を空っぽにしようと努めた。

どれほどのが流れたのか分からなかった。数分だったかもしれないし、ほんの数分だったかもしれない。私は再びベッドの縁へと戻り、靴を脱いで横たわった。

い掛け布団を顎のまで引きげ、目をく閉じ、そして数秒に再び目をけた。井の央には、球のソケットから部の角に向かって、細く蛇する本のひび割れがっていた。

私はその亀裂の線をじっと目で追いながら、自分が今何を見つめているのかすら曖昧になっていくのをじていた。

携帯話はバッグの奥くに沈んでおり、源は切れたままだ。健は今頃、目を覚ましただろうか。加亭のにち、ガラス戸の張りを見て青ざめているだろうか。

私に何度も話をかけ、繋がらないことに気づいて苛ちを募らせているだろうか。彼はいったい、しでも焦りをじているのだろうか。

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