"検事採用面接の朝、夫は「妹のために辞退しろ」と言った" 第3話
「いつ、どうやって返すというはあるの?」
私の問いに、夫は完全に押し黙った。
あるはずがない。
義母が嫁のをつぎ込んで、まともに返す気など微もないことはだった。
「この件の使途が確になり、正式な説がなされるまで、共同座からのこれ以の支は切認めません」
私は夫の目のでアプリを操作し、ワンタイムパスワードの設定を変更した。
私の承認なしでは、円たりとも部へ送できない設定に切り替える。
「おい、何勝なことしてんだ!」
夫が掴みかからんばかりにを伸ばしてきたが、私はちがり、鋭く睨み据えた。
「勝なのはあなたたちよ。夫婦の共財産を無断で流用することは、法に見てもな背任為です」
私の徹なに圧されたのか、夫は伸ばしたを力なくろした。
その、リビングのテーブルから義母の甲い声が聞こえてきた。
族用のグループメッセージに、義母からの投稿が届いたのだ。
『彩佳の採用、ほぼ決まったようなものです。曜にみんなでお祝いしましょう。親戚の伯母様たちも呼びましたよ』
画面を見つめる私の眉が、たくねがる。
公教員の最終面接は、今終わったばかりだ。
結果通の発送すら数週先のはずなのに、「ほぼ決まった」とはどういうことなのか。
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曜の祝いの席という言葉に、吐き気を催すほどの胡散臭さが漂っていた。
翌の夕方、私は仕事を終えた彩佳を駅の喫茶に呼びした。
義母や夫の妄言に振り回されるに、当事者である彩佳の認識を確かめる必があった。
現れた彩佳は、連の試験勉でしやつれていたが、その瞳には真摯なが宿っていた。
「お義姉さん、急に呼びしてごめんなさい。昨は面談、お疲れ様でした」
彩佳は席に着くなり、私を気遣うようにをげた。
義母が敵している私のことを、この娘は度も悪く言ったことがない。
「いいのよ。彩佳さんも、昨の面接はどうだった?」
「やれるだけのことはやりました。でも……倍率もいですし、結果がるまではで」
彩佳は両で包み込むようにホットカフェオレのカップを握った。
決して奢らず、自分の実力と向きっている態度だった。
あの義母が吹聴している「内定確実」という空気とは、あまりにかけれている。
「彩佳さん、つだけ聞かせてほしいの」
私は声を落とし、穏やかに切りした。
「今回の試験に向けて、どこかの民関で特別な指導やコンサルティングを受けた?」
彩佳はきょとんとした顔で目を見いた。
「特別な指導……? いえ、受けてませんけど」
「教材を買ったり、誰か個な指導者を紹介されたりもしなかった?」
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「全くないです」
彩佳は首を横に振った。
「自治体の過問集と、予備の単発の面接講座を回受けただけです。全部で万千円くらいでしたし、自分のバイト代から払いました」
胃の底がえ切っていくのをじた。
やはりそうか。
彩佳は、あの48万円のをほどもらない。
「どうしてそんなことを聞くんですか?」
そうに眉を寄せる彩佳に、私は隠さず事実を告げた。
「裕さんとお義母さんが、あなたの指導費という名目で、夫婦の貯から48万円を業者に振り込んでいたの」
「えっ……!?」
彩佳が息を呑み、絶句した。
「よ、48万……!? 私、そんな頼んでないし、誰からも指導なんて受けてません!」
「分かってる。あなたが関与していないことは、今の話で確信できたわ」
私は揺する彩佳のをそっと制した。
「あなたを責めるつもりは全くないの。ただ、誰かがあなたの名を使って、透なおをかしている」
彩佳の顔が青ざめていく。
「お母さん、まさか……」
その、彩佳のスマートフォンが震えた。
義母から親族斉送信されたメッセージ画面を、彩佳が無言で私に見せてくる。
『曜の祝勝会は、親族同でお祝いします。林先という素らしいご縁のおかげで、彩佳のがけました。玲奈さんのような堅苦しい仕事より、教員の方がよほど女性として幸せになれますね』
親族の老格である伯母をはじめ、従兄弟たちにまで送られている文面だった。