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"サンダル履きの妻を、夫が売る日" 第17話

「真紀……! 頼む、真紀! 悪かった、俺が浅はかだった! 母さんに頼まれて断れなかったんだ! 全部母さんと理ちゃんが仕組んだことなんだよ! で話そう、な? 夫婦だろ、でやり直そう!?」

醜い。

あまりにも醜悪な景だった。

窮に陥った瞬、母親も、自分が担ぎげた女もすべて切り捨てて、自分だけ助かろうと妻に縋り付く。

これが、私がという歳を共に過ごしてきた男の、本当の姿だった。

私はえ切った目で、にいつくばる夫を見ろした。

「もう度と、あなたの代わりにをげるつもりはありません」

夫の顔から、すべての表が抜け落ちた。

「……警察と弁護士からの連絡を、待っていなさい」

警備員のによって、のみっともない罵声と喚き声が、廊の奥へと引きずられていく。

バタン、と防音扉が閉まった瞬、会議には静まり返った沈黙だけが残された。

私は乱れた呼吸をつも漏らさず、審査員席の役員たちに向かって、く、完璧な角度で礼した。

「業務調責任者、藤原真紀。適切な調達事案の排除、ならびにリスク管理の報告を完いたします」

役員たちが、誰も言葉を発することができず、ただ圧倒されたように私を見つめていた。

だが、私の指先は、まだたく張り詰めたままだった。

会議での処刑は終わった。

次は――分の膿を、滴残らず絞りす法な解体が待っている。

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会議の防音扉が閉ざされた直、の唸り声だけがの奥に響いていた。

「藤原主任」

背から、川法務が静かに声をかけてきた。

鏡の奥のは、完全に獲物を仕留めた検察官のそれだった。

「見事な現証拠の保全でした。これで、会社として取るべき法措置の選択肢が完全に固まりました」

「ありがとうございます。ですが川、これはまだ半分です」

私は乱れた呼吸を度だけく吸い直し、たい袋をはめるように指先をえた。

「社内の祥事を処理するだけではりません。横領未遂と背任に関わった部の、そしてそれを引きした内に対して、民事・刑事の両面から切の逃げを塞ぐ必があります」

川は満そうに元を緩め、元のタブレットを胸元に抱えた。

「承しています。岸本部については、先ほど専務会から【自宅待および営業部職の解任】がりました。デスクのパソコンと社用携帯はすでに総務が回収に入っています。部との通信記録、過の透な接待交際費も含めて、徹底なフォレンジック調査を実施します」

「理への対応は」

「顧問契約の即破棄はもちろん、経歴詐称および社秘漏洩未遂に関する【違約請求通】を、本付で内容証郵便にて送達します。

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彼女が京の商社を『の都』で退職した本当の理由についても、すでに弁護士を通じて照会をかけていますよ」

川の言葉に、私は静かに頷いた。

の実績を盗んでまで虚飾のキャリアを誇示するが、の職でまともな終わり方をしているはずがない。

あの女の化けの皮は、業界の隅々まで剥ぎ取られることになる。

「藤原主任、午の業務はの者に引き継ぎ、本はもうがってください。あなた自の問題に、を使うべきです」

「はい。そのつもりです」

自席に戻ると、フロアの空気は完全に変していた。

営業部の社員たちは誰として声をさず、青ざめた顔でキーボードを叩いている。

岸本部のデスクの周囲には、すでに総務部のが数名ち、引きしの類を無質に段ボール箱へ詰め込んでいた。

「主任……」

隣の席で、森田が震えるで温かいお茶のペットボトルを差ししてきた。

その目には、恐怖と、それ以のい敬が浮かんでいた。

「森田さん、驚かせて悪かったわね。でも、これで現の仕事が誰かに奪われることはなくなったから」

「はい……! 私、藤原主任が最まで現の数字を守り抜いてくださったこと、忘れません」

「袈裟よ。通常業務を続けなさい。末の締め処理、お願いね」

私はロッカーから私物のバッグを取りし、社員証を首からした。

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