"サンダル履きの妻を、夫が売る日" 第13話
私は、のすべてを懸けて、この腐り切った連鎖を叩き潰す。
週末の自宅。
リビングの空気は、気なほど浮きっていた。
ソファにふんぞり返った夫は、机のに広げた級料亭のパンフレットを指で弾きながら、嫌で缶ビールを喉へ流し込んでいた。
「おい真紀、母さんのスーツ姿、見たことあるか? のためにわざわざ座の百貨で誂えたんだぞ。万もしたらしいが、の商談が決まればそんな端、瞬で取り返せるからな」
私は台所で、曜の審査会に提する最終類の控えを静かに鞄へ滑り込ませていた。
顔もげずに返す。
「ずいぶん気がいのね。まだ審査も始まっていないのに」
「審査なんて形だけだよ」
夫はを鳴らし、勝ち誇ったようにを組んだ。
「岸本部が完全に根回しを済ませてあるんだ。理ちゃんが完璧なプレゼンをして、母さんが元企業の代表としてをげる。役員連も、元密着の美談に反対する理由がない。おはろで黙って座って、内の顔をててりゃいいんだよ」
夫の目は、すでにに入るはずの泡銭に濁っていた。
私のの仕事が、どれほどの信用と臭い調のに成りっているのか。
その本質には、最までミリも目を向けようとしない。
「……ねえ、健太」
私は鞄のファスナーを閉め、夫の顔をまっすぐに見つめた。
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「あなた、自分の副業の号……覚えているわよね」
夫の喉が、わずかにピクリといた。
だが、酒の回ったは危険信号をしなかったらしい。
「あ? 健太コンサルティングのことか? それがどうした。これからは母さんの会社の顧問料もそこに入るし、俺も会社員本でさく収まる器じゃないんだよ。は俺も午休を取って、審査会ののお祝い会から流するからな」
「そう。楽しみね」
私はそれ以、言も発しなかった。
、この男がを踏み入れる所が、栄の祝宴会などではなく、自ら掘った底なしの断台であることもらずに。
曜、午。
本社ビル階、会議。
に回かれる『規基幹サプライヤー選定・最終提案審査会』の会には、異様な緊張が漂っていた。
方形の巨なテーブルの奥には、仕入れ統括役員、法務の川、そして監査部の責任者がずらりと居並んでいる。
私は業務調の責任者として、川の斜めろ、査定側の席に控えていた。
ガラリと、い防音扉がいた。
先を切って入ってきたのは、営業部の岸本だった。
そのに続く物の姿を見た瞬、審査内の空気がわずかにざわついた。
藤原幸子――私の義母だった。
の豪奢なジャガード織のスーツにを包み、首元には粒の真珠のネックレス。
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髪を完璧にセットし、まるで方自治体の名誉表彰式にでも臨むかのように、顎をツンとげて歩いてくる。
そしてそのろには、ライトグレーのパンツスーツを完璧に着こなした理。
脇には、午休を取ってスーツ姿で付き添ってきた夫・健太の姿まであった。
義母は部に入るなり、審査員席の端に座る私を見つけ、馬鹿にしたように目を細めた。
わざわざ私の目のを通る際、元へ掠れるような囁き声を落としていく。
「真紀さん、みすぼらしい格好で恥をかかせないでね。今の主役は、うちの会社と理ちゃんなんだから」
私は無言で、元のバインダーに線を落とした。
義母の爪には、派なワインレッドのマニキュアが塗られていた。
品を扱う会社の代表が、爪先すら現仕様にしていない。
その軽さが、すべての破滅の始まりだった。
「定刻となりましたので、限会社フジワラフーズ様による、プレミアムギフト調達案件の提案審査を始いたします」
司会の図とともに、岸本がちがった。
これ見よがしに胸を張り、役員たちに向かって朗々とをく。
「本案件は、が営業部が総力を挙げて推する方創プロジェクトであります! 元に根ざした老舗卸であるフジワラフーズ様、そして京の商社で数々の流通改革を成し遂げてこられた理氏を部統括に迎え、数億円規模の定した供体制を構築いたしました!」