"「寝かせた金」と呼ばれた一千万円" 第7話
『さすがの次男坊!』
『オープンしたら絶対くよ!』
画面をスクロールする指が止まる。
物件を、契約完?
エスプレッソマシンを、直輸入決定?
融資がりてもいないのに。
私の千百万円という「架空の」をあてにして、この男はすでに舗契約を結び、額な材の発注に踏み切っている。
背筋を、たい汗が伝った。
これは単なる「計画の頓挫」では済まない。
資が調達できなければ、契約違反の違約、内装の解約損料、材のキャンセル料――数百万、をすれば千万円い負債が、瞬にして亮介の肩にのしかかる。
そして、その現実を、亮介自はまだ何つ理解していないのだ。
その、画面のにLINEの通が滑り込んできた。
見慣れないアイコン。
表示された名を見て、私は息を止めた。
『真理』
亮介の妻、真理さんだった。
織さん、突然のメッセージ失礼いたします。
どうしても、直接お伺いしたいことがございます。
今からしだけでも、おをいただくことはできないでしょうか。
亮介には、内緒でお願いいたします。
く、震えるような文面。
私はすぐに返信を打った。
『今、駅のサザンタワー階の喫茶にいます。来られますか?』
『すぐに向かいます』
既読は、秒も経たずについた。
分。
喫茶のガラス扉がき、周囲を怯えたように見回す女性が入ってきた。
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真理さん。歳。
普段はながらも清潔のあるなりをしていただったが、今の装いは痛々しいほど乱れていた。
ノーメイクにい顔には濃い隈が張り付き、元のバッグを両で固く握りしめている。
私を見つけると、真理さんはりで駆け寄り、々とをげた。
「織さん……急に呼びしてしまって、本当に申し訳ありません」
「いいえ。座ってください。アイスティーでいいかしら?」
「あ、はい……ありがとうございます」
真理さんは子の端に腰掛け、さく呼吸をえようとしていた。
だが、テーブルのに置かれた指先は、細かく震えている。
私は運ばれてきたグラスにをつけ、静かに切りした。
「真理さん、顔が悪いわ。何かあったの?」
真理さんは唇をく噛み、膝ので握りこぶしを作った。
そして、顔をげ、すがるような目で私を見つめた。
「織さん……単刀直入にお聞きします」
喉が詰まったような、乾いた声だった。
「本当に、うちに千万円を貸してくださるんですか?」
やはり、そこだった。
私は表を変えず、バッグから冊のクリアファイルを取りした。
に入っているのは、に提した『正利用申』の控えと、昨晩夫に突きつけた『資拠同通告』のコピーだ。
私はそれを、真理さんのに滑らせた。
「読んでみて」
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真理さんは恐る恐るファイルをいた。
類の文字を追うにつれ、彼女の瞳がきく見かれていく。
頬から、完全に血の気が引いていくのが分かった。
「これ……正利用……同……?」
「私は、亮介さんに円も貸さないわ」
私ははっきりと、文字ずつ区切るように言った。
「資もしないし、保証にもならない。そもそも、あの計画に私の名がかれていること自体、からの通で初めてったのよ。私の名と跡を勝に偽造して、融資を通そうとしていたの」
「そ……そんな……」
真理さんのから、空気が抜けるような音が漏れた。
両で顔を覆い、そのままテーブルに崩れ落ちそうになる。
「嘘……じゃあ、亮介の言ってたこと、全部……」
「亮介さんは、あなたに何て言っていたの?」
真理さんは顔をげ、涙で滲んだ瞳で私を見た。
「『兄貴が全部話をまとめてくれた』って……。『織さんは子どもがいないから、将来の投資としてんで千万円してくれることになった』って……。だから、資の配は切ないから、おもパートを辞めてのちげに専しろって言われて……」
「パートを辞めたの?」
「先末で、辞めてしまいました……。内装業者との打ちわせや、仕入れの契約で、がりないからって……」
真理さんの声が震える。
「昨も、物件の契約を振り込むからって、私たちの結婚の定期預、百万円を全部解約して持っていかれたんです。
『兄貴からのが入るまでの替だ』って言われて……」