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"妻を平手打ちした夫が、30分後「娘には言うな」と懇願した" 第9話

っていて、私に隠し、息子を庇っていた」

『な、何を言いすのよ! 言いがかりはやめなさい!』義母の声がずり、狼狽が骨に滲みる。『とにかく! 、結を連れて浩のところへ戻りなさい! 夫婦で話しって、浩に謝りなさい! いいわね、美紀さん! これは義理の母としての命令よ!』

「お断りします」

『なんですって?!』

「私は度と、あのには戻りません。今の連絡は、すべて代理弁護士を通じてってください」

『美紀さん! ちょっと、美紀――』

通話終の赤いボタンを、私は静かにタップした。

夜の部に、静寂が戻る。録音止ボタンを押した直子が、く息を吐きながら言った。

「……決まりね。母親が共犯者だったという、これ以ないかぬ証拠よ」

結はソファーに座り込んだまま、拳を握りしめて震えていた。その目から、ボロボロと粒の涙が零れ落ちる。

「……おばあちゃん、ってたんだ」結の掠れた声が、沈黙を破った。「ってて……ずっとお母さんをバカにしてたんだ。私、お正にみんなで集まった、お父さんとおばあちゃんがヒソヒソ話してるの見たの。『うまくやってるのか』って……あれ、あの女のことだったんだ……」

娘の流す涙が、私の胸を抉る。だが、もう戻りはできない。族という名の、欺瞞に満ちた檻の扉は、完全にかれたのだ。

翌の午。れのたい差しが、オフィスのガラス張りのビルに反射していた。

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夫の会社の最寄り駅にある、ホテルのティーラウンジ。い吹き抜けのフロアには、商談をするビジネスマンや、優雅にお茶をむマダムたちの姿があった。あえて目のある、密にならない所を選んだのは、結の判断だった。

「お父さん、で来るように言ったから」向かいに座る結が、めたアイスティーのグラスを見つめながら言った。

約束の午を分過ぎた頃。エスカレーターをがってきたが、キョロキョロとラウンジ内を見回した。

浩だった。

昨夜の完璧なスーツ姿とは打って変わり、ネクタイはわずかに歪み、目のには濃い隈が浮かんでいた。晩眠れなかったのだろう。結の姿を見つけると、すがるような表でりにづいてきた。

「結! よかった……連絡が取れて本当によかった……」

浩は私の姿がないことを確認すると、底堵したように息を吐き、結のの席に滑り込んだ。

「母さんは? 母さんは緒じゃないのか?」

「お母さんは来ないよ」結の声は、驚くほどく、平坦だった。「私がで話したいって言ったでしょ」

「そうか……いや、結、本当にすまなかった」浩は両をテーブルので組み、を乗りした。その顔には、父親としての「愁」と「反省」を精杯貼り付けた表が浮かんでいた。

「昨夜のことは、俺が全面に悪かった。

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酒が入っていて、取り返しのつかないことをしたと反省している。おにも、あんなショッキングな面を見せてしまって……本当に申し訳ない」

結は父親の言葉を、の読めない瞳で見つめていた。

「お母さんには、謝ったの?」

「あ、ああ、もちろんLINEで何度も謝罪を送っている! でも返事がなくてな……母さんも興奮しているんだろう。おからも、し落ち着くように言ってくれないか? 夫婦の問題なんだ、第者を入れずに、でじっくり話しえば絶対に解決できる」

「夫婦の問題?」結が眉をわずかにかした。「お父さん、昨夜お母さんを殴った理由、何だったの?」

浩の表が瞬、張った。線を泳がせながら、言い訳を紡ぎす。

「それは……母さんが、川に対してあまりにも攻撃だったからだ。川はただの職の部で、気を利かせて挨拶に来てくれただけなんだ。それを母さんが、更期特のイライラというか……で責めてるようなことを言うから、俺もカッとなって……面子を潰されたとって、ついがてしまったんだ」

結のたい線が、浩の顔に突き刺さる。

「お父さん」

「ん?」

「川莉奈ってと、いつから付きってるの?」

ラウンジの喧騒が、浩の周囲だけふっと消えったかのように見えた。浩の顔から血の気がサーッと引いていく。

唇がさくき、乾いた音が喉から漏れた。

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