"妻を平手打ちした夫が、30分後「娘には言うな」と懇願した" 第8話
「完全にクロよ。あとは、貞の確実な証拠と、本の自供」
そのだった。
午分。静まり返った部に、けたたましい着信音が鳴り響いた。
画面に浮かびがった名は――『義母』。
結の顔が張る。「……またおばあちゃんだ」
「なくていいわよ、美紀」直子が眉をひそめた。
「ううん、る」私は静かに首を振った。そして、直子のスマートフォンの録音アプリを起させ、テーブルの央に置いた。「直子、録音をお願い」
私は通話ボタンを押し、スピーカーフォンに切り替えた。
『美紀さん!!』
スピーカーからびしてきたのは、切り声だった。夜を過ぎているにもかかわらず、義母の興奮は頂点に達していた。
『あなた、今どこにいるの! 浩から泣きながら話があったわよ! にも帰らず、話にもないで、妻としての責任を何だとってるの!』
「お義母さん」私はを極力抑え、平坦な声で返した。「私は今、病院をて友のにいます。浩さんから顔面を殴打され、診断を取りました」
『診断だぁ?!』義母は嘲笑するように叫んだ。『げさなこと言ってんじゃないわよ! 男のがちょっとカッとなってが当たったくらいで、病院に駆け込んで診断?! 警察にでもく気?! 恩らずもいい加減にしなさい!』
「が当たったのではありません。勢のが見ているで、確な殺を持って殴られました。
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のも切れています」
『それがどうしたって言うのよ!』義母の言葉には、片の躊躇もなかった。息子の暴力に対する罪悪など、微もじられない。
『浩がどれだけな役職に就いているか、あなたには分からないの?! 来期には取締役の席が用されてるのよ! それを、も半を過ぎて女を捨てたような嫁が、若い女の子に嫉妬してパーティーの席を台無しにしたんでしょうが! 浩の顔にを塗ったのはあなたよ!』
隣で聞いていた結が、耐えきれないようにをきかけた。私はでそれを制した。ここでになってを挟んではいけない。加害者が自分の言葉で、自分の罪を語るのを待つ。
「私は川さんに嫉妬などしていません。彼女が私に対して著しく無礼な発言をしたため、注しただけです」
『無礼ですって?! 向こうは会社のために懸命働いている若い形社員よ! ちょっとしたお世辞や冗談も受け流せないで、目くじらててキーキー騒ぐから、浩に躾けられたんじゃないの!』
――躾けられた。
その言葉を聞いた瞬、私の背筋をたいりが貫いた。連れ添ったを、この女は「息子の所物」であり、「躾けられるべき犬」だと本気でっているのだ。
「お義母さん。浩さんが会社の若い女性とどのような関係にあろうと、私を公衆の面で殴打する正当な理由にはなりません」
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『関係って何よ! 男がでちょっと遊ぶくらい、甲斐性のある男なら昔から当たりでしょうが!』義母は捲してるように、息を荒げた。自己正当化の渦に巻き込まれ、完全に静さを失っているのが分かった。
そして、その瞬。義母のから、決定な言がびした。
『体ねぇ、浩だってあの子とはもう綺麗さっぱり終わらせるって、先私に約束したのよ! 男がケジメをつけようとしてるに、わざわざ引っ掻き回すような真似して! 庭を守る気がないのはあなたの方じゃないの!』
部の空気が、完全に凍りついた。
直子が目を見き、私と顔を見わせた。結が両でを押さえ、息を呑む。
録音アプリの波形が、義母のその声を確かに記録していた。
「……お義母さん」私の声は、震えていなかった。氷のようにたく、静かだった。
「今、何とおっしゃいましたか?」
スピーカーの向こうで、ハッとしたような息遣いが聞こえた。義母自も、自分が何をったかに気づいたのだ。
『え……いや、それは……』
「浩さんが、川さんと『もう終わらせる』と、先あなたに約束した……そうおっしゃいましたね?」
『ち、違うわよ! そんなで言ったんじゃないわ! 仕事の、プロジェクトの話よ!』
「いいえ。仕事の話で『男の甲斐性』や『ケジメ』という言葉は使いません」私は文字文字、区切るように言った。
「お義母さんは、浩さんが川莉奈さんと貞関係にあることを、っていたのですね。