"「娘に頼まれたから」深夜に30個の弁当を作る母、私は何も知らなかった" 第6話
「だ、だからって……今さらキャンセルなんてできるわけないだろ!」
夫はすがるように両をわせた。
「もうチラシも配られて、役員たちも楽しみにしてるんだ! ここで『やっぱ作れません』なんて言ったら、母さんが域でどんな目で見られるか! 恥をかかされるんだぞ!?」
どこまでも、義母の見栄。どこまでも、自分たちの世体。
母のの痛みも、法律の壁も、毒のリスクも、この男の脳内では「母さんが恥をかくこと」よりなのだ。
「るわけないでしょう」
私は吐き捨てるように言った。
「勝に嘘をついて受けた注文よ。受けた本が、自分のでで作ればいいじゃない」
「そんなの無理に決まってんだろ! 母さんは料理なんかできないんだよ!」
「なら、スーパーで販の弁当でも百個買って配りなさいよ。自腹を切って、個ずつ詰め替えてでもせばいいじゃない。それとも、保健所に無許営業で通報されたい?」
「歩美、頼むよ! 今回だけでいいから! 今回の百個さえ乗り切れば、もう度と頼まないから! お義母さん、頼みます、助けてください!」
夫はついに、母の元に膝をついた。
母は、震えるで自分のエプロンを握りしめ、にをげる娘の夫を見つめていた。その瞳には、かつての優しい義理の母としての温もりは、欠片も残っていなかった。
「……輔さん」
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母のから、掠れた声が漏れた。
「私ね、歩美のためだとってたの。歩美がしい仕事を頑張るなら、このがかなくなるまで伝ってあげようとってた。でも……違ったのね」
「お義母さん、それは……!」
「帰ってください」
母は静かに、しかし決して揺るがない声で言った。
「の分の個も、週末の百個も、私はもう作りません。粒のお米も炊きません」
「そ、そんな……!」
夫は絶望に目を見き、私と母を交互に見つめた。だが、そのに方がもいないことを悟ると、逃げるようにちがり、吐き捨てるように言い放った。
「……悔するなよ。母さんがこれをったら、タダじゃ済まないからな!」
バタン、と乱暴に玄関ドアが閉まり、エンジン音がざかっていった。
静寂が戻った台所で、私は母を抱きしめた。母の痩せた背が、さく震えていた。
「ごめんね、お母さん……私がもっとく気づいていれば……」
「いいのよ、歩美。あんたが気づいてくれなかったら、私……本当に倒れるまで作ってたわ」
私たちはその夜、テーブルに並べられた個の弁当を、タッパーに詰め直して蔵庫に収めた。夫に渡すつもりは毛なかった。翌朝、母の親しい所のたちに「作りすぎてしまったから」と無償で配ることにした。
そして、翌朝の。
まだ朝の残る実の玄関ドアを、激しく叩く音が響き渡った。
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ドンドンドン! ドンドンドン!
「幸子さん! けなさいよ、幸子さん!」
甲い、ヒステリックな声。チェーンをかけたままドアを数センチけると、そこには派なのカーディガンを着た義母・恵子が、気を含んだ顔でっていた。
には、きなクリップボードと、きの買いしリストが握られている。
「輔から聞いたわよ! 急に『作らない』だなんて、どういうつもりなの!? 週末の交流会、百ものが私の作り弁当を待ってるのよ!」
義母はチェーン越しに、信じられないほど尊な態度でまくしたてた。
「親戚同士の助けいでしょうが! 幸子さん、あなた定退職して暇なんだから、しくらい域に貢献しなさいよ! をかしてた方が認症の予防にもなるのよ!?」
私はチェーンをし、ドアをきくけ放った。
突然現れた私の姿に、義母が瞬たじろぎ、目を黒させた。
「あ、歩美さん……? なんであなたがここに……」
「お義母さん」
私は義母の目をまっすぐに見据え、徹に言い放った。
「その百分のお弁当、そんなに配りたいなら、ご自分で作られたらどうですか?」
義母は顔を真っ赤にしてをパクパクとさせた。
「な、何言ってるのよ! 私が齢なのはってるでしょう!? こんな寄りに、百分の揚げ物や煮物を作れるわけないじゃない!」
「私の母は、あなたより歳もですよ」
私の鋭い言に、義母の呼吸が止まった。
「私の母は歳です。あなたに『認症予防にをかせ』と見される筋いはありません。