"「ヒモ男」と笑われた夫と私に、88歳の祖父が深く頭を下げた" 第16話
座卓のには、祖父が淹れてくれた温かい緑茶。
「悠真さん、しい仕事はどうじゃ。体は慣れたか?」
「はい。覚えることはほどありますが、現の皆さんも親切で、毎やりがいがあります」
「そうか、そうか」
祖父はく頷き、目を細めて悠真の逞しいを見つめた。
「に、自分のでつが番い。おさんなら、どこへっても丈夫じゃ」
「ありがとうございます、おじい様」
が穏やかに笑いう姿を眺めながら、私は胸の奥がじんわりと温かくなるのをじていた。
あの米寿の席で、祖父が私たち夫婦に向かって々とをげた瞬。
あの、祖父が本当に伝えたかったことのが、今ならはっきりと分かる。
あれは、孫娘の夫の社会位に平伏したわけでも、見栄の勝ち負けでもなかった。
、族という名の呪縛ので、理尽に搾取され続けてきた孫娘の尊厳を、のとして取り戻してやるための、命がけの謝罪だったのだ。
「希」
祖父がふと、湯呑みを置いて私を見た。
その目元には、穏やかで優しい皺が刻まれていた。
「今まで、本当に苦労をかけたな」
「ううん、もういいの」
「これからはな、わしのことよりも、親戚の義理よりも……自分たちの暮らしを、番に切にしなさい」
祖父のが、私のにそっとなった。
温かくて、し骨張った、昔から変わらない優しい。
「うん。おじいちゃんも、自分の好きなことをして、のんびりきしてね」
私が笑って答えると、悠真も隣で優しく微笑んだ。
庭の柿のが、青々とした若葉を揺らしている。
族の尊とは、をひけらかすことでも、誰かを屈させることでもない。
互いの痛みを分かちい、対等なとして、ただ温かいお茶を緒にむこと。
のが差し込む古い居で、私たちはしい未来へと、確かな歩を踏みしていた。