"家族はすき焼き、義姉だけが台所で水かけご飯を食べていた" 第11話
真帆さんのが、私の張ったをそっと包み込んだ。
その温もりに触れた瞬、張り詰めていたの奥が、しだけ緩むのをじた。
じゃない。
この条理な戦いので、私のりを共し、同じ獄からいがろうとしているがいる。
真帆さんが帰った、計の針は夜のを回っていた。
静まり返った部で、スマートフォンの画面がくった。
メッセージの送信元を見て、息が止まった。
『佐藤由』
悠斗くんの、母親だった。
画面をタップすると、い文章が添えられていた。
『遥さん、夜分に申し訳ありません。どうしても、これだけはお伝えしておかなければならないとい、ご連絡しました。これを見て、どう判断されるかは遥さんの自由です。ただ、っておいてほしいのです』
添付されていたのは、枚の画像ファイルだった。
スマートフォンのスクリーンショット。
直と由さんの、メッセージアプリのやり取りだった。
画面の部に表示された付に、私の目は釘付けになった。
『1014』
入籍の、ちょうどヶ。
由さんからのメッセージ。
『結婚するって本当ですか? お相の方は、悠斗のことをっているんですか?』
それに対する、直の返信。
『結婚することになった。でも、まだ彼女には悠斗のことを話していない』
臓が、ドクンと嫌な音をてた。
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由さんの返信が続く。
『入籍するに、絶対に話しなさいよ。子どものを隠して結婚するなんて、相の方にも失礼だし、悠斗に対しても無責任すぎるわ』
そして、直の最のメッセージ。
『今言ったら、確実に破談になる。入籍さえ済ませて活が始まれば、遥だってが湧いて受け入れてくれるはずだ。タイミングは俺が見極めるから、由は余計なことを言わないでくれ』
文字が、網膜に焼き付いてれなかった。
タイミングを見極める?
話す会がなかった?
嘘だった。
全部、真っ赤な嘘だった。
直は「言えなかった」のではない。
「あえて言わない」と、確に決していたのだ。
入籍という法な鎖で私を縛り付け、逃げを奪ったで、「」という名の罪悪を押し付けて屈させる。
その卑劣な計算を、ヶの点で、自らの志で選択していたのだ。
『俺だって、遥を失いたくなかったんだ!』
居で泣きながら叫んでいた直の顔が、脳裏をよぎる。
吐き気がした。
汚らわしくて、恐ろしかった。
をともわず、自分の平穏と見栄のためだけに利用し尽くそうとする、底れないエゴ。
私は震える指で、直の着信拒否を解除した。
そして、酷なまでにいメッセージを打ち込んだ。
『、午7。駅の喫茶「こもれび」。来ないなら、弁護士から類を送ります』
送信ボタンを押した瞬、すぐに既読がついた。
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それから秒も経たずに、直から返信が来た。
『く。絶対にいく。ありがとう、遥』
その文字の軽さに、私は乾いた笑いを漏らした。
翌の午。
純喫茶「こもれび」の奥の席に、直は約束の分から座っていた。
ドアベルを鳴らして入ってきた私を見るなり、直は弾かれたようにちがった。
無精髭がえ、目のには濃い隈が落ちている。
たったで、見違えるほどやつれ果てていた。
「遥……来てくれたんだね。よかった、本当に……」
直が縋り付くような目で、私のを取ろうとしてきた。
私はそのをややかに避け、向かいの席に腰をろした。
「話って何? 居に戻ってきてくれる話? 荷物が全部なくなってて、俺、がおかしくなりそうで……」
直はで捲してた。
取り繕うような笑顔を浮かべようとしているが、声の震えが隠せていない。
「母さんも、言いすぎたって反省してるんだ。親戚のことも、母さんが全部く説して収めるからって。だから、もう度でやり直そう? 養育費のことも、俺が自分の遣いを削ってどうにかするから。遥には絶対に迷惑かけないからさ」
れな男だった。
何が問題の本質なのか、ここまで来てもまだ何つ理解していない。
迷惑をかけない、遣いを削る。
そんな目先の打ちで、私が許すと本気でっているのだ。
私は何も言わず、バッグからつ折りにしたA4のコピー用を取りした。