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"「魚臭いから焼肉屋へ」30人を連れ去った義妹が広めた嘘" 第3話

と。それは突発な予定変更などではなかった。最初から、の点で魚を切り捨て、牛吉へ客を誘導する段取りをえていたのだ。

それなのに。

私は震える指で、帳のパソコンの脇に置いてあったスマートフォンをに取った。画面を点灯させ、メッセージアプリをく。

昨の曜、午分のやり取り。

『、名様で最終確定して丈夫? 仕込みに入るから確認させてね』私が送ったその文面に対し、理恵から返ってきた返信。

『うん! のため分きっちり準備しといてね〜! 楽しみにしてる!』

の夕方の点で、理恵は牛吉へくことを完全に確定させていた。それなのに、私には「分準備しろ」と平然と嘘をついたのだ。

にキャンセルを告げれば、キャンセル料の請求が発する。だから私を騙し、当の直まで仕込みをさせ、壇でバックれて耶無耶にするつもりだったのか。いや、それだけではない。「魚側のトラブルのせいでを変えざるを得なかった」という嘘の被害者を演じるために、わざわざ私に料理を作らせ、直まで放置したのだ。

吐き気がするほどの悪だった。

「……奈緒さん、まだ聞いてるか」

森田の押し殺した声が、受話器から響いた。

「まだあるのか?」

「だ」

森田はくそう言った。

「うちがしてる宴会コースは、み放題込みで千百円だ。

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で万千円。だがな、さっき客の何かが話してるのを聞いちまったんだよ。『急な変更で万円になったけど、毒らうよりマシだよな』ってな」

「……万円?」

わず声が裏返った。

「そうだ。あいつ、同窓たちから万円ずつ集めてる。うちへの支払いは万千円だ。差額の万千円は、体どこへ消えるんだ?」

の芯が、チリチリと焼けるようにかった。

魚の宴会コースは、料理のみで千円。で万円。み物は当別会計の約束だった。

理恵は同窓たちに「魚が毒をした」と嘘をつき、会を千百円の牛吉へと変更させた。そので、「緊急の変更数料」だの何だのと理由をつけて、参加者全員から万円ずつ、計万円を巻きげている。

牛吉への支払いを済ませても、元には万千円が残る。もし魚のキャンセル料を踏み倒すことに成功すれば、そのはすべて、理恵の懐に転がり込む算段だったのではないか。

「……森田さん」

私の声は、自分でも驚くほどく、え切っていた。

「教えてくださって、本当にありがとうございます。から謝します」

「いや、礼なんていい。……奈緒さん、どうするつもりだ。今すぐここに乗り込んでくるか? として、席に案内してやってもいいが」

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瞬、りに任せて牛吉の座敷に踏み込み、理恵の胸ぐらを掴んで引きずり倒したいという衝がった。の同窓ので、昨交わしたメッセージを突きつけ、警察を呼んでやろうかともった。

だが、私の脳裏をよぎったのは、父が遺したこのの姿だった。

夜の半。曜の商には、まだ勢の買い物客や通がいる。そんなで女将が血相を変えてのに乗り込み、号を響かせて警察汰になれば、世がどう見るか。『魚の女将が焼肉で暴れた』『やっぱりあの、何かあったんじゃないか』。理恵のついた「毒」という凶悪な嘘は、な仕を起こせば起こすほど、面おかしく尾ひれをつけてに拡散される。

にとって、事実無根の噂であっても「騒ぎを起こした」という印象そのものが致命傷になるのだ。

「いいえ、乗り込みません」

私ははっきりと答えた。

「森田さんのおに迷惑をかけるわけにはいきません。それに……で騒ぎてても、あの子は適当に嘘をついて逃げるだけです」

「……証拠を固める気だな」

森田の元が、話越しに微かに緩んだ気配がした。

「ああ、そうだ。それがいい。親父さんも、るはいつも番静だった。あいつらの会計が終わったら、領収の控えと、予約を受けたの記録、全部コピーして取っといてやるよ」

「ありがとうございます。森田さん、本当に……」

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