みかん小説
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"新調した下着と消えた八百万円" 第6話

という印象を決定づける、極めて無責任で卑劣な言い回しだった。

「ほら見なさい!」節子は勝ち誇ったように声を張りげた。「やっぱり澪さんの仕事のせいじゃないの! 貴之に自由ないをさせて……男をてられない妻なんて、本末転倒よ」

「……申し訳ありません」

澪はをげた。喉の奥がカラカラに渇き、界が歪んだ。 顔をげた瞬、貴之の元が目に入った。

彼は座卓のに片を隠し、スマートフォンの画面を操作していた。その元には、先ほどまでの族との会話では見せたことのない、甘く緩んだ、微かな笑みが浮かんでいた。

画面の端に、メッセージアプリのポップアップが瞬だけ見えた。 アイコンは、らしいの写真。 表示された文章の断片は――『今夜、待ってるね』。

全の血が気に逆流するような覚に襲われた。

澪はちがった。

「……し、お洗いを借ります」

座敷をて、暗い廊を歩き、トイレの個に鍵をかけた。 便座の蓋のに腰をろし、震えるで自分のバッグをけた。 取りしたのは、昨、結から渡された興信所の名刺だった。

澪は迷うことなく、そこに記載された番号をタップした。

コール音が回鳴り、く落ち着いた女性の声が応答した。

『はい、オフィス・ハセガワでございます』

「……調査を、お願いしたいんです」

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澪の声は、自分でも驚くほど静かで、え切っていた。

「夫の、浮気調査をお願いします」

興信所の代表である川という女性調査員は、極めて能だった。

初回の面談で、澪が提した横浜のパーキングチケット、消されたドラレコの記録、そして実で見かけたスマートフォンの断片な報を提示すると、川は鏡の奥の鋭い目を細めて頷いた。

「典型ですね。おそらく、平の午の帯を狙って密会を繰り返しています。ご主の勤務形態からして、の自由がきくを利用しているのでしょう。今週に、確実に証拠を押さえます」

そして、わずかの曜の夜。 澪は再び興信所の面談に呼ばれていた。

川が無言でテーブルのに差しした冊の報告。 そこに収められていた写真の数々は、澪の像を遥かに超える、残酷な真実を物語っていた。

枚目。横浜駅くの級ホテルを、並んで歩く男女の姿。 男は、紛れもなく貴之だった。仕事で見せる疲れた表など微もなく、コートの襟をて、隣の女性の腰を慣れたつきで抱き寄せていた。

そして、その隣で甘えるように貴之を見げている女性の顔を見て、澪は息を呑んだ。

倉田奈緒。歳。 貴之が以掛けていた型商業施設のプロジェクトで、請けの内装デザインを担当していたフリーランスのパース作成技師だった。

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、貴之が「優秀な若が入ってきた」と楽しそうに澪に名を漏らしていた、あの女性だった。

枚目、枚目。 がホテルの自ドアをくぐる瞬。 エレベーターホールで、目も憚らず唇をねわせる姿。 そして、、腕を組んでホテルからてくるの姿。

タイムスタンプは、昨の午分から午分。 その夜、貴之は帰宅するなり、「現でトラブルがあって、徹夜になりそうだったよ」と疲れた顔で嘘をつき、澪が温め直したシチューをにしていたのだ。

「さらに、これをご覧ください」

川が追加で差ししたのは、数枚の領収のコピーと、産の登記報だった。

「対象者は、目黒にある級マンスリーマンションのを、別名義で半以から契約しています。賃料は額万円。契約者はご主、入居者はこの倉田奈緒という女性です」

「……万?」

澪の声がかすれた。

「ええ。さらに、ご主の座の入記録を法な照会続きを野に入れて簡易調査したところ、過にわたり、ご夫婦の共財産であるはずの座から、定期に百万円単位の使途が引きされています。総額で、およそ百万円にのぼります」

のが真っになった。

百万円。 それは、がいつか自分たちの理のを建てるためにと、澪が独代の貯を取り崩し、々の活費を切り詰めてコツコツと貯めてきた、あの定期預の座から消えていたのだ。

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