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"私を笑った義母が、帰り際に「結婚しないで」と手紙を残した" 第7話

郎ともう度、確認しなければならない事項がじましたので」

話を切ると、くい息を吐きした。 付の数万円は戻らないかもしれない。 だが、そのものを差し押さえられることに比べれば、端にすぎない。

計の針が午を回った頃、事務所のドアがき、直がやってきた。

「美穂、遅くまでお疲れ様。まだやってたの?」

直はトレンチコートを脱ぎながら、嫌よさそうに笑いかけてきた。 には、コンビニの袋。温かいお茶のペットボトルが本入っている。

「直、座って」

私が応接用の丸テーブルを指差すと、直はきょとんとした顔をした。

「なに? 改まって」

「事な話があるの。これからのこと」

直は私のただならぬ気配を察したのか、苦笑いを浮かべながら向かいの子に腰をろした。

「なにさ。怖い顔して」

私は先ほどいたノートを、直の目のに滑り込ませた。

直は線を落とし、箇条きにされたつの項目に目を通した。 最初の数秒はヘラヘラと笑っていたが、読みめるにつれて、その目元から徐々に笑みが消えていった。

「……これ、何?」

「私たちの、結婚の活についての確認」

私は直の瞳をまっすぐに見据えた。

「結婚するに、もう度黒つけておきたいの。約束じゃなくて、お互いの共通認識として」

直は眉をひそめ、ノートを指先でトントンと叩いた。

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「美穂、これ……にも話したじゃん。今さらこんなにいて突きつけるようなこと?」

「話したわよね。じゃあ、確認させて」

私はノートの第項を指差した。

「もし、あなたのお父さんやおじいさんが、実に戻って同居しろって言ってきたら、あなたはどう答えるの?」

直の線が、わずかに泳いだ。

「どうって……『今は京都で暮らす』って言うよ」

「『今は』?」

私は聞き逃さなかった。

「『将来も戻らない』とは言わないの?」

直は気まずそうに腕を組み、背もたれに体を預けた。

「親だってを取るんだよ。っ子の俺が、将来のことを完全にゼロだって突っぱねられるわけないだろ。状況に応じて、柔に考えればいいじゃないか」

「柔に?」

胸の奥の種が、パチパチと音をてて爆ぜ始めた。

「じゃあ、つ目。もしお父さんたちから、私の事務所を畳んで業の伝いをしろ、あるいはのことを優先しろって言われたら?」

「美穂、あのさ」

直の声から、優しげなトーンが剥がれ落ち、苛ちが滲み始めた。

「内装の仕事だって、図面引いたり配したりするのはでもできるだろ? 別に今すぐ辞めろなんて誰も言ってないよ。ただ、活のバランスを見て、徐々にセーブしていくことだってできるじゃないか」

「できるわけないでしょ!」

わず声が張りがった。

「現にって職さんと打ちわせして、資材を確認して、施主さんと何度も顔をわせて空を作るのが私の仕事よ! パソコン台で片にできるような仕事じゃない! あなた、私の仕事を見てきて、そんなことも分かってなかったの!?」

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直は唇をへの字に曲げ、嫌そうに顔を背けた。

「そこまでることないだろ。俺はただ、族になったらお互いに歩み寄るのが普通だって言ってるだけだよ」

「歩み寄る?」

私はを乗りした。 喉の奥が震え、臓が鐘を打っている。

「ねえ、直。あなた、実のお父さんやおじいさんに、なんて言ってるの?」

直の体が、ピクリと直した。

「……何が」

「私には『京都にむ』『仕事を応援する』って言っておきながら、実には『いずれ実に戻す』『美穂に仕事をセーブさせる』って、そう約束してるんじゃないの?」

直の顔から、完全に血の気が引いた。

「な……誰が、そんなこと」

揺を隠しきれず、目が激しくに泳ぐ。 その反応が、千鶴さんの証言が真実だったことを何よりも雄弁に物語っていた。

「言ってないって断言できる? お父さんたちに、『美穂は仕事を続けて京都に定するから、同居は絶対にしない』って、はっきり言ってくれたの?」

「それは……」

直は言葉に詰まり、それから苛たしげにテーブルをで叩いた。

「角がたないように言っただけだよ! 最初から『絶対に戻りません』なんて言ったら、結婚自体を反対されるに決まってるだろ! だから『将来は考え直せばいい』って、そのを収めるために言っただけだ!」

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