"私が外した保証人、身代わりは義母" 第6話
「お母さん、いつも弘さんを温かく見守ってくださってありがとうございます。弘さんがここまで頑張れるのも、お母さんの応援があるからですよ」
由はエプロン姿で甲斐甲斐しく肉を焼き、義母の取り皿に丁寧に運んだ。
敏さんは満更でもない様子で肉をに運び、満そうに頷いた。
「弘、いいお嫁さんをもらったねえ。佳奈さんは仕事ばかりで、こうやってに来ても料理のつも作ろうとしなかったからね。やっぱり男の仕事には、こういう温かい支えが必なんだよ」
「ああ、本当にそううよ。由のおかげで、事業の方も順調そのものだ」
元夫はビールをみ干し、頃いを見計らったようにテーブルに肘をついた。
「それでさ、母さん」
「ん? 何だい?」
「こないだ話した、の融資の件なんだけどさ。ちょっとだけ、母さんにも協力してもらうことになるかもしれないんだ」
敏さんの箸が、わずかに止まった。
「協力って……おのことかい? 私の定期預なんて、した額はないよ」
「違う違う、現をせって話じゃないんだ」
元夫は懐っこい笑顔を作り、敏さんのをポンと叩いた。
「事業をきくするために、の融資枠を広げる必があってね。形式、このの名義をちょっとだけ『信用補完』として登録するだけの続きなんだよ」
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「名義を……? それって、抵当に入れるとか、そういうことじゃないのかい?」
敏さんの顔に、微かな警戒のが差した。
昭のにとって、「を担保に入れる」という言葉の持つ吉さは、本能な恐怖にい。
すかさず、由が優しく柔らかな声で割って入った。
「お義母さん、ごください。今の代、昔と違って無理な差し押さえなんて絶対にありませんから。あくまでが『しっかりしたご族がいらっしゃる会社だ』と確認するための、ただの形式なご挨拶みたいなものなんです」
「そうなの……?」
「当たりだろ、母さん」
元夫が畳み掛けるように笑った。
「俺が自分の母親のを危険に晒すわけないじゃないか。来には、親戚やの取引先を集めて、俺たちの再婚祝いとしいレストランの盛なお披目パーティーをく予定なんだ。母さんには主賓として、番座に座ってもらうんだからさ」
「お披目パーティー……親戚もみんな呼ぶのかい?」
「もちろん。叔父さんたちにも、俺たちの成功を見届けてもらうよ。母さんの顔もつだろ?」
親戚への見栄、そして「母親を切にする息子」という甘い言葉。
敏さんの警戒の表が、見るみるうちに誇らしげな笑みへと溶けていった。
「そうかい……弘も、派になったねえ。分かったよ。話を聞くだけなら、いつでも協力するからね」
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「ありがとう、母さん!」
元夫と由が、線を交わし、く笑いった。
『原則な承は得た』 『あとは、既成事実にして押し切るだけだ』
のので、都の良すぎる青写真が組みがっていく。
しかし、その「ただの形式」という甘い嘘が、やがて自分たちの首を絞める最悪の縄になることなど、こののはまだにもっていなかった。
婚届をしてからヶが経った、曜の夜だった。
静まり返ったワンルームに、スマートフォンの子音が鋭く響いた。
暗がりのでる画面。 そこに浮かびがった名に、喉の奥が張りついた。
『林敏』
元義母からだった。
婚して以来、連絡先はそのままにしていたものの、度も鳴ることのなかった番号。 呼吸をつ落とし、通話ボタンをスライドさせた。
「……はい、林です」
『あ、佳奈さん? こんな夜遅くに、ごめんなさいね』
受話器の向こうから聞こえてきたのは、慣れた、どこか探るような声だった。 以のような威圧はない。けれど、自分が優位にっているとい込みたい特の、わずかな棘が混ざっていた。
「どうされたんですか」
『あのね、ちょっと聞きたいことがあって。ほら、あなた昔から弘の会社の数字を見てたじゃない?』
相変わらず、用件のにこちらの領域へずかずかと踏み込んでくる。
私はたく遮った。
「もう婚しました。弘さんの会社のことは、私には関係ありません」
『分かってるわよ、そんなこと。