"私が外した保証人、身代わりは義母" 第5話
の指先が、その「2000万円」の欄をトントンと軽く叩いた。
「弘くん。コンセプトやはよく分かった。だがね、私は商売だ。におを払うんじゃない、確実な事業計画におを預けるんだよ」
元夫の笑顔が、わずかに固まる。
「……と、おっしゃいますと?」
「舗の保証と初期の内装事だけで、着に最でも1500万の現決済が必になるはずだ。私の800万をあてにするのはいいが、それはメインの融資2000万が確実に実されることが提だ。方のプロパー融資の事審査、本承認はもうりているのかね?」
元夫の喉が詰まった。
「あ、いや……事相談の触は非常に良くてですね、担当者も向きにめると言ってくれています」
「触じゃないよ」
の声から、社交辞令の温度がスッと消えた。
「確約だ。御社のような設の規模法に、無担保・無保証で2000万をポンと貸すは今の代どこにもない。以の計画では、確か奥さんの個保証と自己資が担保枠に入っていたはずだが……婚されたんだろう? あの枠はどうなったんだ?」
由の顔から、瞬にして笑いが消え失せた。
元夫は額にっすらと汗を滲ませながら、必に取り繕うようにでまくしたてた。
「そ、その件はまったく問題ありません! 妻の枠はれましたが、それに代わる……いえ、それ以の固な信用補完をすでに用しています」
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「ほう? それ以の?」
が鏡の奥の目を細める。
「ええ。うちの実……母親が所している名古内のと建物です。築数は経っていますが、規制のない宅で担保余力は分にあります。母親からも『息子の事業のためなら全面に協力する』と原則な承をもらっていましてね。産担保融資として現、枠を組み直しているところなんです」
隣で聞いていた由の指先が、ピクリと反応した。
はしばらく元夫の目をじっと見つめていたが、やがてフッと息を吐いて企画を閉じた。
「なるほど。産担保が入るなら、もきやすいだろう。分かった。では弘くん、その産担保による融資の『承認内定通』がたら、正式な契約を作ろう。それを見るまでは、こちらも資の送続きはめられない。いいね?」
「もちろんです! すぐに用します!」
元夫は々とをげた。
が席をち、ラウンジからていくのを見送った瞬、元夫は子の背もたれにドサリと倒れ込み、きく息を吐きした。
「……危なかった。あの親父、相変わらず細かいところばかり突っ込んできやがる」
「ねえ、弘さん」
由が、い声で元夫の袖を引いた。
「お義母さんのの話……本当なの? お義母さん、を担保に入れてくれるって、もう承諾してくれたの?」
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元夫はネクタイを緩め、苛ちを隠そうともせずに舌打ちした。
「承諾っていうか……に軽く話したは『の話を聞くだけならいい』って言ってたんだよ。息子のれ台なんだから、いざとなれば反対するわけないだろ」
「でも、万が断られたら……」
「断らせないんだよ!」
元夫は声を荒らげ、すぐに周囲を見回して声を潜めた。
「おも分かってるだろ? もう舗の内装デザインの契約にサインしちまったんだ。今さら資がりませんなんて言ったら、違約だけで会社が潰れるぞ! 佳奈のやつが余計なことをして枠を引き揚げたから、こうするしかないんだ!」
由は唇をぎゅっと噛み締めた。
元夫の杜撰さに呆れながらも、彼女にはもう戻りのできない理由があった。
姉から奪った男。 姉から奪ったしい庭と、輝かしい共同経営者の座。
ここで事業が頓挫すれば、「略奪した挙げ句に会社を破滅させた愚かな妹」として、親戚から嘲笑されることになる。
「……分かったわ」
由の瞳に、歪んだ覚悟のが宿った。
「お義母さんを、方に引き込みましょう。堀を埋めてしまえば、お義母さんだって息子のを引っ張るような真似はできないはずよ」
その週末の夜、元夫の実には、分の豪勢なすき焼きの匂いがち込めていた。
「まあ、由さん、こんないお肉を持ってきてくれて……」
敏さんが、りの牛肉が盛られた皿を見て目を細める。