みかん小説
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"顔合わせの個室で、相手の母親は私の過去に怯えていた" 第14話

直さんの声が、涙で滲んでいた。

『自分の保のために、のをそこまで平気で踏み躙れるなんて……。僕、の顔わせ、絶対に母を許しません。父ので、叔父さんと母が話していたことを全部ぶちまけてやります!』

「いいえ、直さん」

私は静かに、しかし絶対のみを持ってその言葉を遮った。

「にぶちまけてはいけません。そんなことをすれば、玲子さんは『息子が嫁に洗脳された』と騒ぎてて、論点をすり替えるだけです」

『でも……!』

「丈夫よ」

私は夜空を見げた。 灯のに照らされたのが、ゆっくりと流れていく。

「相が汚いを使ってくるなら、こちらは最も正しく、最も徹な続きで迎え撃つだけです。で戦ってはいけません。……は、予定通り席についてちょうだい」

『青さん……』

「直さんは、ただ梨の隣にっていなさい。母親の理尽な言葉から、梨を逃がさず、そしてあなた自の言葉で線を引きなさい。それだけで分よ」

話を切り、私はく息を吸い込んだ。 たい空気が、胸の奥の澱みをすべて洗い流していくようだった。

戦う相は、目のの傲な母親だけではない。 「柄」や「世体」という曖昧な言葉を盾にして、の尊厳を査定しようとする、この社会の歪んだ悪そのものだ。

翌朝、事務所のパソコンをちげると、通のメールが届いていた。

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送信元は、の元請けであった会計事務所のシニアパートナーだった。 件名には、事務なフォントでこう記されていた。

『【・照会】黒田メディカル・システムズ株式会社様における過受託業務に関する確認の件』

メールをく。 本文には、丁寧な候の挨拶に続き、極めて厳格な法続きに則った文面が並んでいた。

『先方企業(黒田メディカル・システムズ株式会社・代表取締役 黒田正彦氏)より、過のコンプライアンス点検に伴う正式な面照会を受領いたしました。 つきましては、の業務委託契約第条(完引継義務)および守秘義務解除に基づき、貴殿が当作成された「業務終確認」ならびに「保留事項作業記録」の否について、現財務調査担当者への示請に同いただきたくじます』

元請けからの、正式な守秘義務解除の通達。

これで、すべての法な楔がれた。 私がを閉ざす理由は、もう何つしない。

メールの添付ファイルをき、署名欄に子署名を付与して返信ボタンを押した、その直だった。

事務所の固定話が鳴った。

受話器を取る。

「はい、青会計事務です」

『……青さん。野寺です』

く、落ち着いた、配の男性の声。 、私が提した審な伝票のメモを、苦渋に満ちた表で受け取った、当の財務部。

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「野寺様。ご無汰しております」

『メールの件、元請けの先から確認いたしました。迅速なご対応、謝いたします』

野寺さんは話で、くをげているようなを置いた。

『正彦社から、昨夜すべて伺いました。……直さんのご婚約相のお母様が、あなただったとは。そして、内である玲子様が、あなたに対して言語断な無礼を働いていることも』

「仕事と個の庭の事は、別でございますから」

『いいえ、別ではありません』

野寺さんの声に、い自責のが滲んだ。

『、私がもっと経営陣に対して毅然とした態度を取っていれば……玲子様と宮本氏の正をあのでのに晒していれば、あなたがこれほど理尽な目に遭うことはなかった。社の甘さと、私の保が、結果としてモンスターを野放しにしてしまったのです』

「野寺様を責めるつもりはありません。サラリーマンとしてのがおありだったことは、々承しております」

『ありがとうございます……。ですが、もう度と目を背けるつもりはありません』

野寺さんは姿勢を正すように息を吸い込んだ。

『の顔わせの会ですが、横浜の料亭『千歳庵』ですね。実は、あののれにある別『松の』を、正彦社がすでに社内監査の面談用として押さえております』

「正彦社から伺いました。

持病がおありだとか」

『ええ。

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