"私を大学へ通わせた義母と、二十年前の750万円" 第5話
でも、論文の審査が通ったのはのことですし、わざわざお祝いのお話ですか?」
私が淡に返すと、叔父は話の向こうでわざとらしく咳払いをした。
『まあ、そうくなるなよ。内なんだからさ。……実はな、もうつに入ってきてな。お、枚方のほうでマンションを探してるらしいじゃないか。それも、キャッシュでポンと買えるくらいの蓄えがあるって』
背筋に、すっとたいものがった。
誰から漏れた? 産か、それともか。 いや、母が所の誰かに漏らしたはずはない。母自にすら、まだ具体な購入の話はしていないのだ。 ……おそらく、私が元の産ポータルに登録した報か、学関係者ので回った雑談が、どこかのルートで親戚のに入ったのだ。狭い方都の世体など、そんなものだ。
「……まだ具体に決まったわけではありません。母の腰がってきたので、エレベーターのある部を見学しただけです」
『いやあ、だなあ! 親孝じゃないか。血は繋がってなくても、育ててもらった恩を忘れんというのは派だよ。だがな、彩子』
叔父の声のトーンが、段くなった。 親しげな皮肉を脱ぎ捨て、本題を引きずりすの、あのねっとりとした響き。
『なんてものは、いつでも買える。だが、事業のチャンスってのは今しかないんだよ』
「……事業、ですか?」
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『うちの会社もさ、兄貴が急にいなくなってから、俺がで必に守り抜いてきただろう。取引先への義理も、への信用も、全部俺がをすすって繋いできたんだ。その会社がな、今度、ハウスメーカーの指定事に入る話がんでてな。最の配管検査器を括で導入しなきゃならんのだよ』
叔父は息に捲してた。 言葉の端々に、焦燥と、隠しきれない打算が滲みている。
『の融資枠は別の設備投資で埋まっててな。あと千万……いや、、百万の現がどうしても今にるんだ。彩子、おがまとまったを持ってるなら、しのだけでも会社に投資……いや、貸してくれないか? 内のなら、みたいに面倒な類審査もないし、利息だって定期預よりをつけて返すからさ』
喉の奥で、何かがカチリと音をてて噛みった。
「……内のなら、面倒な類審査もない」? と、全く同じだ。
「叔父さん」
私の声は、自分でも驚くほどく、たく響いた。
「会社の経営状況がわかる決算や、試算表は見せていただけるんですか? それと、担保の設定は?」
受話器の向こうで、叔父が息を詰まらせる気配がした。 数秒の沈黙の、苛ちの混じった笑い声が返ってきた。
『ははっ……おいおい、彩子。お、学の先になってでっかちになっちまったのか? 相は赤のじゃないんだぞ。
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おの父親が命を削ってちげた会社だ。内同士で決算だの担保だの、そんな臭いこと言うもんじゃないよ』
「おをかす以、内であっても契約と財務諸表の確認は当然です。社会政策を教えているとして、そこは曖昧にできません」
『……おな』
叔父の声から、笑いが完全に消えた。 く、ドスの利いた、威圧な響き。
『誰のおかげで、おがその学の先になれたとってるんだ? 兄貴がんだあと、俺が会社を畳まずに踏ん張って、の板を守ったから、おも世からろ指を指されずに学問を続けられたんじゃないのか?』
「……なんですって?」
『幸子さんだってな、あの、兄貴の残した会社を潰しちゃいけないって、自分から協力してくれたんだよ。おを学にかせられたのも、会社が残って親戚の信用が保たれたからだ。それを……自分のになった途端に担保だの決算だの。兄貴がきてたら、けなくて泣いてるぞ』
りで、全の血が逆流しそうだった。 母が自分から協力した? 会社が残ったから、私が学にけた?
「叔父さん。その話、詳しく聞かせていただけますか」
私は震える奥歯を噛み締めながら、努めて抑揚を消して言った。
「母が協力したという、の話です。叔父さんがどうやって父の会社を守り、母が何を差ししたのか。
話ではなく、直接お会いして伺いたいといます」