"恩人の葬儀の裏で、夫は私の実家に値段をつけていた" 第4話
と優しく言ってくれた。
だが、婚姻届を提し、活が始まってから、しずつ歯が狂い始めた。
修は世体を極端に気にするだった。 乗るは必ずでなければ気が済まず、着るスーツや靴も流ブランドで固めた。 私の医師としての収入を周囲に自する方で、私が実に送るおに対しては、を追うごとにあからさまなを示すようになった。
『まだ仕送りしてるのか? もう分恩返ししただろ』 『あっちだって、いつまでも妹に頼ってちゃ恥ずかしいとわないのかね』
兄が脳梗塞で倒れ、リハビリが必になったも、修は群馬へ見いにくことすら嫌がった。 『俺がっても気を使わせるだけだ』と言い訳をしてゴルフにかけ、私が週末に群馬へ通うことに対しては、嫌を全でアピールしてリビングに閉じこもった。
私は、波をてたくなかった。 激務のに庭内で争う気力がなく、「修さんの言うことも、般庭の覚からすれば理あるのかもしれない」と、自分に言い聞かせて自分を納得させてきた。
修の浪費を咎めない代わりに、私の実への支援にもをさせない。 そうやって、触れてはいけないを避けるようにして、の均衡を保ってきたのだ。
けれど、その均衡は、兄と義姉のによって完全に崩れった。
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修にとって、兄夫婦のは「劇」ですらなかったのだ。 ただの「支の終」であり、「産の現化のチャンス」でしかなかった。
吐き気がするほどの嫌悪が、胃の底からせりがってくる。
その、寝のドアので、スリッパの音が止まった。 トントン、と慮のないさでノックされる。
「真理子、寝たのか?」
返事をしないでいると、ドアノブがガチャガチャと乱暴に揺らされた。 鍵がかかっていることに気づいた修の、舌打ちするような気配が伝わってくる。
「おい、ドアくらいけろよ。事な話があるんだからさ」
「……もう横になってるの。話なら、にして」
たく言い放つと、ドアの向こうで修がい溜息をついた。 その溜息のに、隠しきれない苛ちと、妙な焦りが混ざっているのを、私は聞き逃さなかった。
「あのさ、さっきのマンションの件だけどな。来週の曜、モデルルームの見学予約、名で入れといたから」
カチリ、とので何かが凍りつく。
「……勝にそんなこと決めないでって言ったでしょう。私、買うなんて言も言ってないわ」
「見にくだけだよ。見るだけならタダだろ? それとさ――」
修の声が、しだけトーンを落とした。 探るような、値踏みするような、ぬるりとした湿り気を帯びた声。
「群馬のの権利証とか固定資産税の通、どこにあるか分かってるのか? お、そういう続き苦だろ。
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来週、俺が仕事休んで、崎の役所と産を通り回ってきてやろうか?」
臓が、ドクンとねがった。
役所と産を回る? まだ遺品理のもつけていない、義姉の私物がそのまま残っているあのに、なぜ修がでく必がある?
「……結構よ。実のことは、私が全部自分でやるから」
「なんだよ、張るなって。おが忙しいから、気を利かせて伝ってやろうって言ってんだろ。善を無駄にするなよ」
善。 このがにするその言葉が、これほど気に響いたことはなかった。
「とにかく、来週曜のだからな。遅れるなよ」
音がざかり、リビングのテレビの音だけが再びくぐもって響き始めた。
私はベッドからり、布バッグのから義姉の鍵を取りした。 たい真鍮の触が、震える指先に痛いほどい込む。
何かがある。 修は、ただマンションを買いたがっているだけじゃない。
あのは、私がらないところで、群馬のに関して、すでに何かを始めているのではないか。
胸騒ぎというにはあまりに具体で、悍ましい疑が、暗ので黒々とした輪郭を持ち始めていた。
翌朝、修が洗面所で髭を剃っている微かなモーター音を背に聞きながら、私は始発にいりにび乗った。
き先は、崎。
「曜のモデルルーム見学」
を方に告げた夫の顔を、これ以同じ空で直する気力は残っていなかった。