みかん小説
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"恩人の葬儀の裏で、夫は私の実家に値段をつけていた" 第3話

当、兄の彦は歳。 幸恵さんと結婚して、まだらずだった。 業の薬を継いだばかりで、借の返済もあり、の活すら決して楽ではなかった。

親戚の者が「施設という選択肢も現実ではないか」とをきかけた、その瞬だった。

兄が、座敷の畳に両をつき、い声で言い放ったのだ。

「真理子は、うちで暮らせばいい」

親戚たちは斉に堵と、同に呆れたような顔配りをした。 「おたち、婚だろう」「まだ商売だって軌に乗っていないのに、の面倒なんて見切れるのか」と々にを挟む。

私が「迷惑をかけたくない」と泣きながら首を振ると、隣に座っていた義姉の幸恵さんが、私のえ切ったを両で包み込んでくれた。

「部なら、つ空いてるわよ。丈夫だから」

実際には、部など余っていなかった。 階にあった畳の物置部を、兄夫婦が夜遅くまでかかって片付け、義姉が自分の実から持ってきたさな机とベッドを運び込んでくれただけだった。

兄は毎朝くからをけ、配達や仕入れで夜遅くまで汗を流した。 義姉の幸恵さんは、しでも計を浮かせようと、パートにながら私の弁当を毎朝作ってくれた。

になり、私が医学部を目指したいと言いした、私は自分の勝さに涙が止まらなかった。

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国公とはいえ、医学部の学費や教科代、実習費は、普通の学部の比ではない。 私なんかが目指していい所じゃない。く就職して、に恩返しをしなきゃいけない。

模試の判定結果を隠していた私に、兄は激した。 普段は滅に声を荒らげない兄が、机を拳で叩いて鳴ったのだ。

「なんで隠すんだ! きたいならけ! のことなら、借りられる奨学は全部調べるし、俺たちがせる分は全部す!」

「でも、お兄ちゃんたちにこれ以迷惑かけられないよ! 私、絶対に全部返すから……!」

すがりつくように叫んだ私に、幸恵さんは静かに首を振って、私のを撫でてくれた。

「真理子ちゃん、今配するのはそこじゃないのよ。勉して、受かることだけを考えなさい。おのことは、が何とかするものなの」

幸恵さんは台所から、冊の学ノートを持ってきた。 表に『計簿』とかれた、角の擦り切れたノートだった。

青いボールペンで、毎の費や費、薬の仕入れ代が、円単位で几帳面にき込まれていた。 そこには、私の学用品代や模試の受験料も、当然のような顔をして並んでいた。

当の私は、それを見て「私はこのたちの荷なんだ」と怯えてしまった。 すると幸恵さんは、私のを読んだようにふふっと笑って、ノートをパタンと閉じたのだ。

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「これはね、真理子ちゃんへの請求じゃないの。私たちが、族としてちゃんときてるっていう記録なのよ。だから、借だなんてわないで」

そして、さな引きしからのリングに通された真鍮の鍵を取りし、私ののひらに載せてくれた。

「はい、これ。真理子ちゃんの鍵。ここはね、あなたのでもあるんだから。夜遅くなっても、慮しないでけて入ってきなさい」

のひらの鍵が、じんわりと温かかった。 あの言がなければ、私は医学部のを耐え抜くことはできなかった。

国試験に格した、姿の写真を見せると、兄は受話器の向こうでい沈黙の、嗚咽を漏らして泣いた。

『……よかったな、真理子。これで、おのはおのものだ』

おのは、おのものだ。 兄のその言葉を、私は今までのお守りにしてきたはずだった。

それなのに――。

ベッドので膝を抱え、暗い井を見つめる。 臓が、嫌なリズムで鐘を打っていた。

なぜ、修はあんな顔配りで「仕送りが終わった」と笑ったのだろう。 なぜ、私が医師として稼いできたを、まるで自分の老資の目減りだったかのように言えるのだろう。

修と結婚したのは、歳のだった。 病院の医療器の納入業者として入りしていた修は、最初は穏やかで、頼もしい男性に見えた。

両親がいない私の境遇をっても、「ご兄妹で支えってきたんですね、尊敬します」

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