"赤字物件と笑う夫、毎月9万の裏口座" 第16話
でもあなたは、その信頼をただの『都のいい盲目』として利用した。 佐野さんの賃をネコババし、修繕費を騙し取り、最は私の財産を掠め取ってと逃げようとした。 ……それを世では、ただの犯罪と呼ぶのよ」
「う……っ」
直の喉から、掠れた嗚咽のような音が漏れた。
言葉が、ない。 どれほど言い訳をねようと、目のに積まれた証拠と、私の揺るぎない線が、男の欺瞞を余すところなく暴きてていた。
義母が恐る恐るをいた。 さっきまでの圧な態度はどこへやら、震えるで私の袖を掴もうとしてくる。
「恵理さん……お願いよ。25、族として暮らしてきたじゃないの。 直だって魔が差しただけよ。親族ので裁判だなんて、世様に対して恥ずかしくて顔向けできないわ。 ねえ、婚届は破棄して、もう度やり直しましょう? 私も、あんたに対する態度を改めるから……」
「お義母さん」
私は義母のを、たく、けれど静かに押し戻した。
「世体を気にするなら、ご自分の息子が警察のお世話になった点で、もう遅れです」
義母の顔が、絶望に歪んだ。
「それに、婚届なら、今朝番で私ので役所へ提してきました。すでに受理されています」
「え……?」
直が弾かれたように顔をげた。
「受理……された……?」
「ええ。もう私たち、ですよ。浦直さん」
私はバッグから、区役所で発してもらった『婚届受理証』をテーブルのに置いた。
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緑の枠線の切れにペンをらせたあのから、私の決は1ミリも揺らいでいなかった。 この男と過ごした25の鎖は、今この瞬、法の続きによって完全に断ち切られたのだ。
森本弁護士が通のを取りし、直のに滑らせた。
「さて、浦直氏。清算のです」
面に並ぶ条項を、弁護士が淡々と読みげていく。
、過5にわたり着した賃料相当額、540万円の全額返還。 、虚偽報告により騙し取った修繕費補填、20万円の返還。 、実の玄関サッシおよび設備の損壊に対する原状回復費用、見積もり額85万円の弁済。 、婚姻期の貞為および背任為に対する慰謝料、300万円の支払い。
計、945万円。
「もちろん、括での支払いが困難であることは承しています」
森本弁護士はややかに微笑んだ。
「ですから、本は『公正証(制執認諾文言付き)』の作成続きに入ります。毎の与から、分割で確実に引きさせていただきます。もし支払いが度でも滞れば、勤務先の料および退職を即座に差し押さえます。……承諾のサインを」
直は震える指でペンを握りしめた。 その目から、ボロボロと粒の涙がこぼれ落ち、類を濡らした。
「恵理……頼むよ……こんなの払ったら、俺の料、元にほとんど残らないんだよ……。賃だって払えない……」
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「自分で撒いた種です」
私は度も線を逸らさずに告げた。
「佐野さんが自腹で修繕費を払いながら、必でを守っていた、あなたは何をっていましたか? 私がスーパーの特売肉を握りしめて、あなたの嫌を伺っていた、あなたは何を笑っていましたか? ……自分ので、自分のの責任を取りなさい」
直のがガタガタと震え、やがて力なく、の署名欄にペンをらせた。 その背は、かつて庭ので王様のように振るっていた男のものとは到底えないほど、さく、れに縮こまっていた。
義母はそのに崩れ落ち、両で顔を覆って声を殺して泣いていた。
もう、私を縛るものは何つなかった。
季節は巡り、の柔らかな差しが川のを包み込んでいた。
あれから、3ヶのが流れた。
ディベロッパーとの交渉は、田島産管理の仲介のもと、極めて公正な形で決着がついた。
父の文具ビルが建つ敷は、商業施設のメインエントランスおよび搬入の用として、正式にディベロッパー側へ賃貸(定期借権設定)されることになったのだ。 売却して更にするのではなく、建物の1階部分をそのままリノベーションし、しい商業施設の部として組み込むという特別なプランが採用された。
を奪われることなく、正当な対価としての代収入が、毎私の座へ振り込まれるようになった。