"「農家の娘」を15分で追い出した義母の誤算" 第12話
……森田の恥晒しが!」
夫は「ひぃっ」とい鳴をげ、完全に畳にへたり込んだ。
だが、私ののには、まだ番い刃が残されていた。
「おじ様。もうひとつだけ、このでらかにしておくべきことがございます」
私の声に、座敷の線が再び集まった。
「や、やめろ……織、頼む、それだけは……!」 のの夫が、狂ったように叫んだ。 うようにして私へびつこうとする。
だが、隣に座っていた叔父の男が、夫の肩をから力任せに押さえつけた。 「見苦しいぞ、拓也! 座ってろ!」
私はバッグの奥から、茶い封筒を取りした。 から引きしたのは、冊の緑の通帳と、からの解約通の写し。
それを、呆然と座り込んでいる義母のの畳へ、滑らせた。
「……子さん。これに見覚えはありませんか?」
義母は震えるで、その通帳を拾いげた。 表には、『森田子』の名義。
「私の……? なんであんたが持ってるのよ! これは私の部の、仏壇の奥に隠してあった……!」
「くなったお義父様が遺してくださった、あなたの切な老資――百万円の定期預ですね」
義母のが、激しく震え始めた。 恐る恐る、通帳のページをく。
最のに印字された数字。
『解約 ¥5,000,000-』 『残 ¥0-』
「……え?」
義母の喉から、掠れた乾いた音が漏れた。
「残が……ゼロ……? うそ……なんで……? 私、解約なんてしてないわよ……!?」
「ヶ、会社の資繰りが完全にショートした、拓也さんがあなたの実印と保険証を持ちし、委任状を偽造して全額解約しました」
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私の徹な声が、静まり返った座敷に響き渡る。
「その百万円は、宮澤絵里さんへの当の未払い分と、融関への利払い、そして拓也さんの個なクレジットカードの決済に消えました」
「……うそ……」 義母は通帳を握りしめたまま、隣に組み伏せられている息子を見た。 その顔は、血の気が完全に失せ、蝋形のようにかった。
「拓也……? あんた……私のおを……? あのおはね……私がぬまで絶対にをつけないって、お父さんと約束した……私の命綱なのよ……!?」
夫は顔をげられない。 ただ、に爪をて、獣のようにく唸るだけだった。
「ち、違うんだ母さん……! 絵里のお父さんに恩を売るために……に借りただけで……! 会社がて直せれば、倍にして返すつもりだったんだよ!」
「倍にして返すですって!?」 義母のから、絶叫が迸った。 「絵里さんは持ちじゃなかったんでしょう!? ただの会社員なんでしょう!? 私の百万は……私の老ホームは……私の老はどうなるのよ!!」
義母は狂乱し、息子の胸ぐらを掴んで激しく揺さぶった。 息子の頬を、拳で何度も殴りつける。 夫は抵抗もせず、ただ涙とを垂れ流しながら縮こまっていた。
「私のを返しなさいよ!! あんたなんかに産まなきゃよかった! 棒! 私のを返してよ!!」
座敷に響き渡る、肉親同士の呪詛と暴力。
親族たちは皆、顔を背け、眉をひそめていた。
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そこにあるのは、同でも憐憫でもない。 ただ、勝な欲望の果てに自滅していく親子への、底れない軽蔑だった。
「……そこまでだ」
正叔父が、氷のようにたい声で言い放った。
「拓也。森田の本として、貴様への切の支援を断つ。親族からの借入も、保証も、切認めん。会社の破産続きは、貴様自の責任で弁護士をててえ」
叔父の線が、泣き叫ぶ義母へ移る。
「義姉さんもだ。息子の放蕩を止めもせず、あまつさえの娘を理尽に虐げ、嘘のに胡をかいて贅沢を見た報いだ。度と本の敷居を跨ぐな」
「正さん……! そんな……見捨てる気ですか!? 私たち、に迷っちゃうのよ!?」
義母が畳に額を擦りつけて懇願したが、叔父は度と目をわせなかった。
私は、ゆっくりとちがった。
もう、この所に留まる理由は、秒たりともなかった。
「おじ様、皆様。本はおをいただき、ありがとうございました」
く、静かに礼した。
叔父は私を見げ、その険しい表をわずかに緩めた。
「……林さん。森田のが、君にどれほどの苦労をかけたか。親族を代表して、く詫びる。……すまなかった」
叔父が、親族のの座にありながら、私に向かってくをげた。 周囲の親族たちも、気まずそうに、けれど申し訳なさそうにをげる。
「もったいないお言葉です。