"夫のスマホ「あの女は自分から出ていくよ」" 第10話
「相方は即座に『妻が自らのでをて別居を始した』と主張します。つまり、民法の『同居義務違反』、あるいは『悪の遺棄』の実を作られる。さらに、数ヶに賃料の支払いを止められれば、あなたはむ所を失い、経済にに迷うことになる。すべて計算ずくですよ」
喉の奥がヒヤリとたくなった。
あの男は、そこまでしていたのだ。 、同じ根ので眠り、娘を育ててきた男が。 私を法な罠に落とし、に放りすための青写真を、完璧に描きげていた。
「絶対に、そのアパートに入ってはいけません。鍵を受け取ってもいけない」
倉田弁護士は類をトントンと机で揃え、まっすぐに私を見た。
「川さん。闘う覚悟はありますか?」
「……闘う、覚悟」
「相はあなたを無力化し、円のも払わずに追いすつもりです。ならば、こちらは制度の鉄板を使って、相の退を断ちます。まず番で、ご主の会社と自宅宛てに『受任通』を発送します」
「受任通……」
「弁護士が介入したことの公な宣言です。これ以、ご主があなたに直接接触すること、脅迫めいた連絡をすることは切禁止されます。そして同に、庭裁判所へ『婚姻費用分担請求』の調を申してます」
倉田弁護士の元に、徹なが宿った。
「婚姻費用――いわゆるコンピです。
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本の法律では、別居であっても、収入のい側の配偶者は、もう方に活費を支払う義務があります。たとえ別居の理由がどうあれ、婚が成するまでは絶対に逃れられない義務です」
弁護士は素く卓を叩いた。
「ご主は宅設備の営業主任、収はおよそ百万から百万といったところでしょう。あなたのパート収入を勘案しても、毎万から万円程度の支払いが命じられます。これをご主の座から毎制に引き落とす」
由紀が横でさく息を呑んだ。
「相はあなたを無文で追いして、と優雅に暮らすつもりだった。だが、そうはいきません。あなたがきている限り、あの男は毎、たい活費を払い続けなければならない。銭な兜の緒を、こちらが締めげるんです」
目のがけていくようだった。 のぶつかりいではない。 泣き叫んで許しを乞うのでもない。
社会のルールを使って、あの男の傲な計算を根底からへし折る。
「お願いします」
私はくをげた。
「先、すべてお任せします。私は、度とあのたちの言いなりにはなりません」
法律事務所をたのは、夜のを過ぎていた。 由紀と別れ、彼女のマンションへ戻る途、駅のドラッグストアにち寄った。
着や洗面用具、当面の化粧をカゴに入れ、レジに並ぶ。
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計額は千円とし。
私は財布から、夫から渡されていた族カード――活費決済用のクレジットカードを取りし、端末に差し込んだ。
ピピピッ、と鈍いエラー音が鳴った。
員が申し訳なさそうに画面を見る。 「お客様、こちらのカード、お取り扱いできない状態になっておりますが……」
指先が、わずかに張る。 「……もう度、試してもらえますか?」
「申し訳ありません、やはり『カード会社へお問いわせください』と表示されてしまいます」
レジのかりので、私はたい現実を噛みしめていた。
止めたのだ。 夫は、私がをて義母と揉めたことをり、即座に族カードの利用を止した。 現をほとんど持たずに逃げした妻を、兵糧攻めで屈させるために。
「あ、すみません。現で払います」
私はバッグの底から、昼に自宅から回収したばかりの、自分名義のキャッシュカードを取りした。 自分の座からろした万円札をす。
お釣りを受け取り、をた。 夜がたい。 だが、胸の奥は議なほど静まり返っていた。
(甘いわよ、正さん)
あの男は、私が独代のおを円も持っていないとい込んでいるのだ。 すべてを奪い、凍えさせれば、泣いて座して戻ってくるとをくくっている。
その、コートのポケットのでスマホが震えた。
画面を見ると、静岡の局番からだった。 美咲の、携帯の番号。
臓が、きゅっと締めつけられる。