"朝食が5分遅れて平手打ち、夫は「母さんを怒らせるな」" 第14話
耐えかねた元夫は、部の介護サービスを頼ろうと『域包括支援センター』へ相談に駆け込んだらしい。 だが、元義母の介護認定は、最も軽い「支援1」。 デイサービスや訪問介護を使おうにも、受けられる公サービスには厳しい限があり、半は額な全額自己負担になる。
「にのに入られるなんて恥ずかしい!」 「私の息子の浩司がいるのに、なんで余計なおを払わなきゃいけないの!」
世体を何よりもんじる元義母が猛反対し、結局、民サービスの導入すら頓挫したという。
『浩司ね、この久しぶりに会ったら、髪だらけで別のようになってたわよ』
麻さんからの最のメッセージには、そうかれていた。
『「由美に座してでも戻ってきてもらいたい」って泣いてたけど、私、言ってやったの。「あんたが由美ちゃんを扱いしなかったツケでしょ。、母さんと共倒れしなさい」ってね』
私はその画面を静かに閉じ、メッセージの履歴をすべて消した。
りも、憐れみも、もう湧いてこなかった。
のをすり潰して、自分の寧を買おうとしたたちが、自分たちの撒いた種を刈り取っているだけだ。 それは、因果応報という名の、ごく自然な現実の帰結だった。
曜。
スマートフォンの画面が、静かに700分を告げた。
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アラームはかけていなかった。 遮カーテンの隙から差し込む柔らかなの朝ので、私は自然と目を覚ました。
会社から徒歩15分、しく借りた1Kのマンション。 を基調とした部には、無駄なものは何つない。 脱ぎ散らかされた誰かのもなければ、嫌を伺わなければならないの音もしない。
ベッドから抜けし、素のままフローリングを踏みしめる。 の穏やかな温もりが、の裏からじんわりと伝わってきた。
キッチンでお湯を沸かす。 棚から取りしたのは、お気に入りの陶器のドリッパーと、昨焙煎してもらったばかりの質な珈琲豆。
丁寧にを挽き、細のポットからゆっくりとお湯を注ぐ。 ポタポタと落ちる黒い雫とともに、ばしくいりが、さな部いっぱいに満ちていく。
フライパンで卵をつ割り、じっくりと半熟の目玉焼きを作る。 トースターから、ばしく焼けたパンがポンと顔をした。
お皿のに、焼きたてのトーストと目玉焼き、ちぎったレタスを乗せる。 マグカップにたっぷりと注いだ珈琲から、い湯気がちっていた。
窓辺のさなローテーブルに、朝を運ぶ。
ふと、掛け計に目をやった。
針は、720分を指していた。
たった5分遅れただけで、激しい音をてて頬を張られた、あの結婚翌の朝。
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「うちは昔から6きっかりって決まってるのよ」 「おが悪いんだから素直に謝れ」
あの呪いのような言葉たちが、い過の聴のようにの奥をかすめて、そしての青空へと消えていった。
子にく腰掛け、マグカップを両で包み込む。 温かい珈琲を含むと、よい苦と柔らかな甘みが、喉の奥を滑り落ちていった。
720分。 誰の嫌も損ねていない。 誰にも鳴られない。 「遅い」となじられることも、「嫁失格だ」と見されることもない。
自分のを、自分の志で、自分のためだけに使う。
それは、努力して誰かのご嫌を取った末に与えられる「ご褒美」などではない。 がとしてきていくための、当たりの権利だったのだ。
窓のでは、澄み切ったれの空の、鳥がさく羽ばたいていた。
「……いただきます」
声にして微笑む。
私のは、もう誰にも奪わせない。 この静かで、誇りい朝とともに、私の本当のが始まっていた。