"朝食が5分遅れて平手打ち、夫は「母さんを怒らせるな」" 第5話
親のしつけがなっていない証拠ね』 『今の夕方までに浩司に謝罪の話を入れなさい。さもなければ、あなたの会社に直接伺って、司の方に常識のなさを訴えますからね』
胃のあたりが、氷を詰められたようにたくなった。
会社に乗り込む。 世体を何よりも気にする義母なら、本当にやりかねない。 「常識のない嫁を教育してやっている」という義名分を振りかざして、私の職をめちゃくちゃにする気だ。
喉が引きつり、呼吸が浅くなる。 その、デスクのに置いたスマートフォンがく振した。
着信画面に表示された名に、私は目を見いた。
『佐藤麻』
夫の姉だった。 35歳。すでに結婚して横浜にんでおり、夫の実とはし距を置いていると聞いていた。 先週の結婚式でも、親族席の端で静かに微笑んでいた姿しか記憶にない。
義母の息がかかった親戚からの糾弾か。 構えながら、私は湯へ移し、通話ボタンを押した。
「……もしもし、佐藤です」
『あ、由美ちゃん? よかった、繋がった』
話から聞こえてきたのは、予していた声ではなかった。 ひどく疲れた、そしてどこか申し訳なさそうな女性の声だった。
『お昼休みにごめんね。今、1で話せる?』
「……はい、丈夫です」
『単刀直入に聞くわね。今朝、母さんから話があって騒ぎしてたの。
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「嫁が朝ごはんを遅れてしたくせに逆ギレして男作って逃げた」って、親戚に言いふらしてるわよ』
男を作って逃げた? あまりの捏造に、の芯が真っになった。
「そんなの……完全な嘘です! 私、朝が5分遅れただけで、お義母さんにいきなり頬を張られたんです! 浩司さんはそれを目ので見ていたのに、私に『謝れ』って……!」
を抑えきれず、声が震えた。 また否定されるのではないか。嫁が気だと責められるのではないか。 そう構えた私のに、受話器越しのため息が落ちてきた。
『やっぱりね。……由美ちゃん、怪はなかった?』
「……え?」
『痛かったでしょ。あの、がるのよ。昔から気に入らないことがあると、すぐそうやって力でねじ伏せようとするの』
拍子抜けするほどあっさりと、義姉は母親の暴力を認めた。
『浩司も、絶対に止めなかったでしょ。あの子はそういう男よ。母親がヒステリーを起こすと、いつも誰かを代わりにして自分だけ全な所に逃げるの。子どもの頃からずっとそう』
「お義姉さん……」
『私ね、結婚式のからずっと胸が痛かったのよ。由美ちゃん、すごく優しそうなだったから。あの子たち、またやったんだなって』
義姉の言葉のが、すぐにはみ込めなかった。 またやった、とはどういうことか。
『由美ちゃん、今の夜、し取れる? 会社の所までくから。
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浩司には内緒で会えないかな。あなたに渡しておかなきゃいけないものがあるの』
真剣なトーンに、私は迷わず頷いた。
「……わかりました。18半に、駅のカフェでお願いします」
退社、駅ビルの奥にある喫茶へ向かった。 窓際の席に、トレンチコートを着た義姉が座っていた。 テーブルのには、付かずのアイスコーヒーと、さな茶封筒が置かれている。
「急に呼びしてごめんなさいね」
義姉は私の顔を見るなり、痛ましそうに眉をひそめた。
「の頬、まだし赤いわね……やしてる?」
「はい、友達のでやしました。だいぶマシです」
席に着くと、義姉はバッグから枚のルーズリーフを取りし、私のに滑らせた。 青いボールペンで、几帳面にかれたスケジュール表のようなものだった。
「これ、見て」
の番には、見慣れた夫の字で、こうかれていた。
『同居スケジュールおよび役割分担(案)』
私は息を呑んだ。
・朝:5:30起、6:00配膳(担当:由美) ・午:掃除・洗濯・庭の掃き掃除(担当:由美) ・母・通院送迎:曜・曜(由美が休または半休を取得して対応) ・夕:18:30配膳、晩酌の準備(担当:由美) ・夜:母の入浴介助および湿布貼り(担当:由美) ・活費:費・費として由美の座より8万円実へ納入
部には、太字でこう付け加えられていた。
『※母さんの膝の負担をゼロにするため、事全般はすべて由美へ移する。
俺は営業で疲れているので現状維持。親父は何もしなくていい』