"「負けを認めろ」と言った義母が、産院で凍りついた日" 第16話
けれど、もう私のったことではない。
「真紀、何ぼーっとしてるの? 映画、始まっちゃうよ」
曜、駅のシネマコンプレックスのロビーで、代からの友がアイスラテを片にりでづいてきた。
「ごめんごめん、ちょっと考え事」
「ふーん? 何よ、また仕事のこと?」
「ううん。全然違う」
私たちは並んで歩きし、自発券へ向かった。 友がふといしたように、私の顔を覗き込んでくる。
「そういえばさ、元旦のところ、子どもまれたのかな。……たまにいして、悔しくなったりしない? も尽くして、結局あっちには子どもができて、真紀だけが放りされたみたいでさ」
友に悪気がないのは分かっていた。 世般の物差しで見れば、私は「夫に浮気され、子どもを産めないまま放りされた歳の負け組」に見えるのかもしれない。
義母の、あの勝ち誇った声がの奥をかすめた。 『真紀さん、いい加減に負けを認めなさい』
私はち止まり、吹き抜けのガラス井からり注ぐ、柔らかなのを見げた。
「悔しくないよ。本当に、度も」
「え? がりじゃなくて?」
「うん。がりじゃない」
胸の奥には、濁りのない静かな面のような平穏だけが広がっていた。
「私が失ったのはね、私に対して誠実でいることをとっくに放棄していた、無責任な男だけよ。
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……誰かに勝ったとか、負けたとか、そんなもの最初からしなかったの」
あのをた、私はようやく理解したのだ。
義母がけしかけてきた「跡継ぎを産む女が勝ち」という劣なレース。 輔が逃げ込み続けた「母親の認める男が偉い」という幼稚なごっこ遊び。
私は、その歪んだ俵のに無理やりたされ、、必にを踏ん張っていただけだった。
「お義母さんはずっと、私に負けを認めろって言ってた。でもね、あのをてやっと分かったの」
私は友に微笑みかけ、チケットを握り直した。
「私、最初から、あのたちが用したくだらない試になんて、参加する必すらなかったんだって」
のが、の喧騒を通り抜けていく。 私の取りは、どこまでも軽かった。
の定めた勝ち負けに縛られるは、もう終わった。 私の本当のが、今、ここから始まっていく。