"18年消えていた母の第一声は「手取りいくら?」" 第13話
母親は顔をげ、すがるように私のを握ろうとしてきた。 私は、そのをすっと引いた。 母親のが、虚しくテーブルのに落ちる。
「私のがあった、か」
喉の奥から、乾いた声がた。 鳴る気力も起きなかった。 ただ、え切った事実だけが、胸の真んに横たわっていた。
「ってるよ。お母さんが若かったことも、怖かったことも」
母親の顔に、微かな期待が浮かんだ。 私が許してくれるとったのだろう。 母親として受け入れてくれると、勘違いしたのだろう。
「でもね」 私はを乗りし、母親の目を逃さずに見つめた。 「あの、私は歳だった」
母親の表が、ピキリと固まった。
「お母さんは歳ので、自分ので京へって、自分で男を選んで、自分で私を隠すことを決めた。でも、歳の私には、何の選択肢もなかった」
テーブルので、自分の膝のにある拳をく握りしめた。 爪が掌にい込み、痛みがる。
「毎、学から帰ってくるたびに、玄関の靴箱のを見たよ。お母さんからのが届いてないかって。運会で、周りの友達がお母さんにお弁当を褒めてもらってるのを見るたびに、私が悪い子だからお母さんは帰ってこないんだって自分を責めた」
「音、それは……!」
「私のはね、自分が母親に捨てられるほど価値のないなんじゃないかっていう恐怖と戦い続けるだったの」
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私の声は震えていなかった。 静かで、驚くほど徹だった。 をぶつけるのではなく、抱え込んできたを、つずつ相のに並べていくように話した。
「お母さんがどれだけ苦しかったとしても、それはが自分で選んだ結果でしょう? 自分が苦しかったからって、子供に負わせた傷をなかったことにしていい理由にはならない」
母親の瞳から、ポロポロと粒の涙が零れ落ちた。 両をわせて、拝むように私にをげた。
「ごめんなさい……本当にごめんなさい。私が悪かったわ。全部、私が勝だった。お願いだから、音……もう度だけ、やり直させて」
母親は泣きじゃくりながら、震える声で言った。
「度だけでいいから……昔みたいに、お母さんって呼んでくれない? お願いよ……音……」
お母さん。
その響きが、の奥を通り抜けた瞬。 胸の奥底で、何かがパチンと、音をてて弾けんだ。
「……無理だよ」
母親が、信じられないものを見るように顔をげた。
「歳の頃、私は毎、のでお母さんって呼んでた」 私はまっすぐに、母親の涙で濡れた瞳を見つめた。 「朝起きたも、をした夜も、で泣きながら布団を被ったも、ずっと呼んでた。でも、誰も答えてくれなかった」
喉の奥がツンと痛み、界がわずかに歪んだ。 けれど、涙はこぼれなかった。
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「誰も答えてくれなかったが過ぎて、になって、自分でおを稼げるようになってから……今さら『お母さん』って呼んでほしいって言われても、私、もう呼び方がわからないよ」
母親のが、さくいたまま止まった。 何かを言おうとして、けれど言葉がてこないようだった。 喉からヒック、ヒックとしゃくりげるような音が漏れる。
私はバッグから、用してきた枚のメモを取りした。 そこには、母親がんでいる区の福祉事務所と、活困窮者自相談支援窓の所と話番号がかれていた。 それを、母親の目のに置いた。
「これ、何……?」
「公な相談窓の連絡先」 私はを交えずに告げた。 「活が苦しいなら、ここにって相談して。本当に仕事が見つからないなら、活保護を含めて制度を利用して活をて直してください」
「音……私、そんなところにきたくないって……!」
「世体の話なら、もう聞かない」 私はぴしゃりと言い放った。 「親戚のLINEで私の悪をばら撒いて、法事の席で恥をかかせようとしたが、自分のプライドだけは守りたいなんて筋が通らない。毎万円の仕送りは、円もさない」
母親の肩がビクッとねた。
「法律の専にも相談した。私には、自分の活を犠牲にしてまであなたを養う義務はない。過に養育を放棄していた事実がある以、裁にっても扶養は認められないって言われた」