"親戚の前で、夫が私の給料を義母に差し出した" 第6話
『悠介! 奈緒ちゃんから聞いたわよ! あの嫁、奈緒ちゃんを呼びしてネチネチいじめたんですってね!? なんて性根の腐った女なの! 奈緒ちゃん、ショックでご飯もべられないって泣いてるわよ!』
「母さん、落ち着いてくれよ……今、美咲に言いくるめてるところだから……」
『言いくるめるも何もないわ! 今度の曜の夜、全員実に集まりなさい! お父さんも奈緒ちゃんも呼んで、族会議よ! その気な性根、叩き直してあげるから!』
ガチャリと話が叩き切られた。
夫はスマホをポケットにねじ込み、私を指さして勝ち誇ったように言った。
「聞いたか? 母さんが全員集めて族会議をくってよ。曜の夜、蕨の実だ。親戚の美紀姉ちゃんたちにも来てもらうからな。全員ので、おがどれだけ非常識なことをしてるか、いらせてやるよ」
世体と内の同調圧力で、私を屈させる気だ。 親族総で責めてれば、若い嫁など泣き寝入りして財布をくだろうとをくくっているのだ。
私は、夫の歪んだ笑顔を静かに見つめ返した。
「わかったわ。曜の夜ね。逃げずに伺うわ」
「へっ、今から謝ったって遅いからな」
夫はそう吐き捨てて呂へと向かった。
私は帳をき、曜までのタスクをき留めた。 持参するもの。 過の計簿データ、座の入履歴、夫にて替えた領収の原本、そして――弁護士に確認した婚姻費用と財産分与に関する法見解のメモ。
広告
族会議? 結構。 全員ので恥をかくのが誰なのか、そのをもってればいい。
曜、午。 蕨にある義実の引き戸をけた瞬、温い線の匂いと、張り詰めた沈黙が腔を突いた。
玄関には、見慣れないヒールと、履き古された革靴が並んでいる。 リビングへ通じる襖をけると、まるで公裁判の法廷のような景が広がっていた。
座には、腕組みをして眉にい皺を刻んだ義母。 その隣に、所なさげに目を伏せ、湯呑みの湯気を見つめている定退職した義父。 壁際には、満げにスマホをいじりながらを組む義妹の奈緒。 そして、端の席には、なぜか呼びされたらしい夫の従姉、美紀さんが申し訳なさそうな顔でさくなっていた。
「……遅かったじゃないの」
義母がく、濁った声でを切った。 卓袱台の真んには、めきった麦茶のポットがつ置かれているだけ。 もてなす気など最初から微もない。
「約束の分です」
私が靴を揃えて正座すると、私のすぐろから入ってきた夫が、待ってましたとばかりにをいた。
「母さん、親父。わざわざ集まってもらって悪い。美咲がどうしても納得しないから、族みんなので常識ってものを教えてやってほしくてさ」
夫はため息混じりに、いかにも「物分りの悪い妻に苦労している良き夫」
広告
の顔を作って見せる。 そのわざとらしい仕を見るだけで、胃の奥が雑巾のように絞られた。
「美咲さん」 義母が卓袱台を指先でトントンと叩いた。乾いた爪の音が響く。
「あなたね、奈緒ちゃんに何を言ったの? 若い子がせっかく都内で自しようとを向いているのに、悪く問い詰めて泣かせたんですって? 野に嫁いできたが、妹のを祝うどころか邪魔をするなんて、代未聞よ」
「邪魔などしていません」
「嘘をおっしゃい! たかが万の援助を惜しんで、通帳に百万も隠し持ってるくせに! そんながめつい女、このにふさわしくないわ。悠介がどれだけ親戚ので恥をかいたか、しでも考えたことがあるの!?」
義母の声が段と甲くなる。 壁際の奈緒が、ここぞとばかりにをすすり、被害者の顔を作った。
「そうだよ……お兄ちゃんは『してやる』って言ってくれたのに。美咲さんが余計なこと言わなきゃ、今週に本契約できたのに……もう付流れちゃうかもしれないんだよ?」
の息のった吊しげ。 いつもなら、ここで世体を気にしたが折れるのを待っているのだ。 「すみません、私の配慮がりませんでした」とをげて、財布をくのを。
隣で夫が、勝ち誇ったように私を見ろしていた。 ほら見ろ、これが族の総だ、とでも言いたげに。