"110億円を相続した妻を捨てた夫――30億円の誤算" 第13話
宣告の法廷
季節は巡り、京に厳しいが訪れた頃。京方裁判所の法廷において、郷田達也の刑事裁判の判決公判がかれていた。
傍聴席の最列には、仕ての良い濃紺のスーツをに纏った弁護士と塚監査部が静かに腰掛けている。私は廷しなかった。すでに私のから完全に切り捨てられた過の残骸を、直接この目で確かめる必などどこにもなかったからだ。
廷のベルが鳴り、刑務官に両脇を固められて入廷してきた達也の姿に、傍聴席からどよめきが漏れた。
わずか数ヶの拘置所活で、かつての横柄な面は跡形もなく消えっていた。頬はこけ、背は曲がり、髪が部全体を覆っている。錠と捕縄を解かれたも、虚ろな目を宙に彷徨わせ、ガタガタと膝を震わせていた。
裁判が入廷し、厳粛な空気ので廷が告げられた。
「主文。被告・郷田達也を、懲役に処する」
法廷内に、いうめき声が響いた。執猶予の切つかない、い実刑判決だった。
裁判は鏡をし、被告席の達也を厳しく見据えて判決理由を朗読した。
「被告は、企業の代表取締役というを悪用し、にわたり巧妙なで会社の公を横領した。その額は億千万円という巨額にのぼり、使途もへの贈与や自己の遊興費という極めて浅ましいに基づくものである。
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さらに、正の発覚を隠蔽するため、自らを支え続けた配偶者に対し、精神虐待を加えて無文で放逐するなど、その性の卑劣さは指弾されるべきである」
裁判の語語が、巨な鉄槌となって達也のに叩きつけられる。
「被告は公判廷においても、自らの責任を反省するどころか『元妻の謀略に嵌められた』『騙されていた』と見苦しい弁解に終始しており、その犯は極めて悪質である。よって、期の実刑をもってその罪を償わせるのが相当である」
「ちょう……えき……はち、ねん……」
達也のから、乾いた泡が吹きこぼれた。
代半ばの男にとって、刑務所のでのというは、の黄期をすべてドブに捨てることをしていた。所する頃には代半ば。科者となり、社会信用も財産もすべて失った状態で、社会の最底辺へ放りされるのだ。
「うわああああっ! 嫌だ! 刑務所なんてきたくない! 美桜、美桜助けてくれえぇぇっ!」
法廷のに倒れ込み、狂乱して泣き叫ぶ達也を、屈な刑務官名が容赦なく取り押さえ、引きずりしていく。
その叫び声が完全に途絶えた、先は静かに法廷をにし、待していたのから私へ報告の話を入れた。
「美桜総帥。郷田達也に対し、懲役の実刑判決がされました。
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控訴の権利はございますが、証拠が完璧である以、覆る余は万につもございません」
「そうですか」
私は総帥のデスクで受話器をに当てながら、静かに息を吐いた。
「かずの方はどうなりましたか」
「はい。共犯として起訴されていた郷田かずですが、こちらは懲役ヶ、執猶予の罪判決となりました。実刑こそ免れましたが、んでいた自宅マンション、預、財具の切が、当グループからの損害賠償請求によって差し押さえられ、競売にかけられました」
「つまり、無文でへ放りされた、と」
「様でございます。親戚を回り、涙を流して居候を懇願したようですが、『百億円の総帥をドブに捨てた疫病神』『関われば会社が潰される』と、全員から完全に絶縁されたとのことです。現は、寄りのない困窮者がを寄せる、郊の粗末な無料額宿泊所の片隅で、誰ともを利かずに震えて暮らしているとの報告が入っております」
かつて私を「役たず」「貧乏神」と罵倒し、千万円の切れでセレブ活を見ていた義母。
その女が今、自らの欲の報いとして、寄りもも尊厳も失い、社会の吹き溜まりで孤独に怯えながら余を過ごすことになったのだ。
因果応報。自らが蒔いた邪悪な種を、最の粒まで自らので刈り取る。
それが、者の真を蹴にした者たちにされた、絶対な結末だった。