"110億円を相続した妻を捨てた夫――30億円の誤算" 第12話
砂のの末
事件から週。京拘置所のたいコンクリート壁の奥で、達也とかずが取り調べに泣き叫んでいる頃、もうの裏切り者にも、容赦のない鉄槌がされていた。
都の等に建つ超級タワーマンションの最階ラウンジ。
かつて達也の横領で購入されたそのペントハウスの扉を、京検の係官と裁判所の執官、そして弁護士率いる法務チームが容赦なくノックした。
「ひっ……な、何よあんたたち! ここは私のよ! 勝に入ってこないで!」
ドアの隙から顔をした井麗は、派なルームウェアをに纏い、怯えとりをわにして叫んだ。
しかし、執官は表つ変えず、懐から差し押さえ令状と産渡断の仮処分決定通を突きつけた。
「井麗さんですね。当マンションは、株式会社ゴーダプレシジョンの元代表取締役・郷田達也が、会社の公億千万円を横領して購入した犯罪収益財産であることが証されました。裁判所の決定に基づき、本付で本物件、ならびに内の具、産類の切を仮差し押さえいたします」
「な……なんですって!? ふざけないでよ! これは達也さんから私への正当なプレゼントよ! 私の名義なんだから、私のものよ!」
狂乱してってかかる麗に対し、先が徹な笑みを浮かべて歩へた。
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「法な無を晒すのはおやめなさい。横領によって取得された財産は、民法の法原因付以に、組織犯罪処罰法に基づく没収・追徴の対象となります。さらに、あなたが自のSNSで『彼からのプレゼント』と誇らしげに公していた級、ブランドバッグ、ジュエリー類の切についても、購入資の所がすべて横領座からの直接送と致しております」
先は、分い証拠類の束を彼女の先に突きつけた。
「すでにあなたの個座も、損害賠償請求に伴う仮差押えが執されました。残はゼロです」
「そ……そんな……! 私の貯まで……!?」
麗の顔から、完全に血の気が引いていく。
「それだけではありません。あなたの父親が経営する取引先ですが、神堂グループ傘の全融関ならびに主取引先から、コンプライアンス違反企業として取引止措置が通達されました。娘が横領の共犯として捜査対象になっている企業のトップと、ビジネスを継続できる会社などこの世にしませんからね」
「パ……パパの会社まで……!?」
麗はそのにへたり込み、理のに両をついた。
彼女の父親の会社は、神堂グループからの取引止と融資引き揚げにより、わずか数で連鎖倒産の危に追い込まれていた。激した父親からはすでに親子の縁を切られ、「おのせいで族すべてが破滅だ」
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と鳴りつけられていたのだ。
「さあ、着の着のままで退していただきましょうか。分以内に私物を持たずに退しないは、警察官を呼びます」
執官の酷な通告に、麗は涙を流して先の元に縋り付いた。
「お願いです……! バッグつだけでも持ってかせてください! 私、無文になっちゃうの! どこへけばいいのよぉっ!」
「の庭を壊し、の血税と資産を貪りって着飾っていた女に、残すものなど何もありません」
先はややかに彼女のを払い除けた。
級タワーマンションから、着の着のままでへと放りされた麗。
かつて達也の腕に絡みつき、「負け犬の奥さんを追いしてハッピー」とシャンパングラスを打ち鳴らしていた令嬢の姿は、そこにはも形もなかった。
濡れたアスファルトのに座り込み、たい枯らしに震えながら泣き叫ぶ彼女に、を止めて救いのを差し伸べる者は、誰としていなかった。