みかん小説
本棚

"5000万円の新居に義両親が無断で引っ越し――夫の嘘" 第8話

千万円は誰のか

「ちょっと待ってくださいよ!」 健太が管理主任のにちふさがり、唾をばしながら喚き散らした。 「俺はこのの夫ですよ!? 夫婦のなんだから、俺にだって誰をまわせるか決める権利があるだろ! 親を呼んで何が悪いんだよ!」

管理主任はプロの静さを崩さず、歩がってをげた。 「ご主様が配偶者として居される権利と、ご親族様をたな定者として招き入れる権利は法に別個のものです。所者様のご志に反する搬入をされる、警察への通報も含めた対応を取らざるを得ません」

管理主任の淡々とした宣告に、健太は唇をワナワナと震わせ、私を睨みつけた。 「彩佳! お、ふざけるなよ! 登録しろ! 今すぐ『んでいい』って言え!」 「私は登録しません。管理主任さん、の業者の方に伝えてください。その荷物は、切このマンションの敷内に入れないでくださいと」 「彩佳ッ!!」

健太の号が響く、それまで黙って推移を見守っていた義母の千鶴が、鬼の首を取ったような顔でにみてきた。 「彩佳さん、あなたねえ、さっきから所者だの何だのと偉そうに言ってるけど、勘違いもだしいわよ! このマンションを買う、あなたのご両親が千万円もしてくれたんでしょう!?」

千鶴は胸を張り、勝利を確信したような卑た笑みを浮かべて言い放った。

広告

「親がそれだけのをしてくれたってことはね、実質に『夫婦への結婚祝い』なのよ! 夫婦の共財産じゃないの! 健太だって具やを何百万円も買ったって聞いてるわよ! 息子のでもある所に、親がんで何が悪いのよ! しは夫をてて譲りいなさいよ!」

義母の言葉を聞いた瞬、私は呆れ果てて乾いた笑いを漏らしそうになった。 なるほど、健太はこの母親に、そうやって都よく吹き込んでいたのだ。 『嫁の親が千万してくれたから、俺たちのになった。だから親父たちもタダでめるぞ』と。

私は千鶴の目を真っ直ぐに見つめ返し、静かに問いかけた。 「お義母さん。その千万円、私の両親が『誰に』したか、ごですか?」 「誰にって……夫婦にしたに決まってるじゃないの! 息子の嫁の親がしたは、うちの息子のも同然でしょうが!」 義母がで笑うように言い捨てた瞬、健太は「あ……」と声を漏らし、真っ青になって線をへと落とした。

私は息をく吸い込み、廊に響き渡る声で、決定な事実を宣告した。

「違います。あの千万円は、私の両親から私個へ贈与された特財産です。健太には円たりとも渡っていません」

千鶴の顔から、急速に血の気が引いていった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: