"義妹が奪った父のベンツ――事故の電話で義母が絶句" 第7話
夫がっていたこと
「どうして健さんの名がてくるの?」
私が尋ねても、美穂は布団の端を握ったまま答えませんでした。
子は病へ入ってくるなり、「今は休ませてあげて」と私を追いそうとしました。しかし戸先が同席しているため、いつものように引には振るえません。
「美穂さん」
先が穏やかに声をかけました。
「ここで無理に話す必はありません。ただし、森田さんのについて、本の承がないまま処分しようとしたことは確認されています」
美穂の目から涙がこぼれました。
「私……返さないといけなかったの」
「何を?」
「お」
美穂はしばらく嗚咽を堪え、それから断片に話し始めました。
最初は百万円ほどだった借が、返済のために別の借り入れをね、数で膨らんだこと。友や親戚には裕福な活をしているように見せ続け、誰にも相談できなくなったこと。
そして最に頼ったのが子でした。
母親なら助けてくれる。
そう信じていたのでしょう。
「お母さんが、お義姉さんのなら売れば何とかなるって」
子が叫びました。
「美穂!」
「本当じゃない!」
病の空気が張り詰めました。
美穂は泣きながら続けました。
「お兄ちゃんも言ったの。由美さんはどうせ逆らわないから丈夫だって」
胸の奥がたくなりました。
健。
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やはり。
「健さんは何をしたの?」
「名義のことを調べてくれた。保険のことも……」
子が娘の腕を掴みました。
「黙りなさい!」
戸先がすぐに止めました。
「佐藤さん。ここは病院です」
美穂は母親のを振り払い、初めて子を睨みました。
「私だけのせいにしないでよ! お母さんが『由美さんなら何とかなる』って言ったんでしょう!」
母娘のに、隠れていたものが気に噴きしたようでした。
私はの言い争いを見ながら、奇妙な気持ちになりました。
昨まで、このは私のでは完璧な親子でした。子は娘を「自の子」と呼び、美穂は何かあるたびに母親へ甘えていた。
けれどが絡んだ瞬、互いを守るより責任を押し付け始めた。
「事故については?」
私は尋ねました。
美穂は唇を噛みました。
「……本当は、お義姉さんがに乗ることになってた」
子がちがりました。
「もうやめなさい!」
その声には、りより恐怖が混じっていました。
美穂は泣きながら首を振りました。
「でも無理だった。私、怖くなったの。それで自分でだけ持っていった」
私は息を止めました。
「私が乗るって、どういう?」
美穂は答えません。
戸先が私を見ました。
今ここで無理に聞きすべきではない。
その目がそう言っています。
「今はここまでにしましょう」
先が話を切りげました。
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病院をると、私は駐でち止まりました。
がたく頬を撫でます。
「先」
「はい」
「事故は偶然じゃなかったんでしょうか」
戸先はすぐには答えませんでした。
「美穂さんの事故自体は、現点では単純な接触事故として扱われています。ただ、そのに何をしようとしていたかは別問題です」
「私をに乗せる予定だった」
「その発言は非常にです」
先は静かに続けました。
「ただ、今は推測でかないでください。証拠を理しましょう」
帰宅すると、健はすでににいました。
私を見るなり、珍しくちがりました。
「美穂、丈夫だったか?」
最初に聞いたのは、私ではありません。
妹です。
「きな怪はありませんでした」
「そうか」
夫はほっと息を吐きました。
「あなた」
私はコートも脱がずに聞きました。
「美穂さんから、あなたに聞けと言われました」
健の顔から表が消えました。
「何を?」
「私ののことです」
秒。
秒。
夫は目をそらしました。
そして次の瞬、信じられないほど平然とした声で言いました。
「俺は何もらない」
その言葉を聞いた、私は逆にしました。
もう迷う必がない。
このは最まで嘘をつく。
ならば私も、最まで証拠だけを信じればいい。