"「お前のために断ってやった」母の仕送りを7年捨て続けた夫" 第11話
とを擦りわせている。 世体と礼儀を何よりもんじる母のみに、夫は完璧につけ込んでいた。
「お義母さん、お昼まだでしたら、僕も何かご相伴にあずかってもいいですか? をばしてきたので、しお腹が空いてしまって」
懐こい笑顔でそう言われ、母は「ええ、ええ、すぐにあるもので用するわね」と台所へりで消えていった。
茶のに残されたのは、父と、夫と、私。 苦しい沈黙が落ちる。
夫は居の壁や、褪せた賞状、し傾いた仏壇を、品定めするように値踏みするような線で見回していた。 その目が語っていた。 やっぱり、ここは自分がむべき世界ではない、みすぼらしい田舎のだ、と。
やがて、母がお盆にすいとんの椀と、作り置きの煮物、そしてあの野沢菜の漬けを皿に盛って運んできた。 急ごしらえの、ありふれた田舎の昼。
「したものもなくて、本当にごめんなさいね」
「いえ、美しそうですね。いただきます」
夫は割り箸を割り、器用にすいとんをに運んだ。 「美しいです」と笑顔を作りながら。
だが、あの野沢菜の皿には、度も箸を伸ばさなかった。 目のにあるのに、まるでそこにしないかのように、完全に界から排除している。 その徹底した拒絶の仕方に、私の臓の奥がたく凍りついていく。
すいとんをべ終え、母がいお茶を淹れ直しただった。
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夫が湯呑みを両で持ち、居まいを正した。 いよいよ、本題に入る図だった。
「お義父さん、お義母さん」
夫の声は、ひどく落ち着いていて、どこまでも「聞き分けのいい常識」の響きを帯びていた。
「今回のことで、僕も反省しました。真帆に余計な気遣いをさせないよう、僕が先回りして荷物をお断りしていたことが、かえって誤解を招いてしまったようです。その点については、言葉らずで本当に申し訳ありませんでした」
をげる夫。 母は慌てて「いいのよ、拓さん。あなたが真帆のことをってやってくれたのは分かっているから……」とフォローを入れる。
私は黙って夫の横顔を見つめていた。 反省しているの顔じゃない。 「ここは旦ににて、自分の望む着点に誘導する」という、営業マンのビジネスの顔だ。
顔をげた夫は、母の目をまっすぐに見つめ、柔らかな声でこう続けた。
「ですが、お義母さん。僕たちの活のことも、しだけ考えていただきたいんです」
母のきが止まった。
「僕たちがんでいるのは、埼玉の賃貸マンションです。スペースにも限りがありますし、とも共働きで、平は夜遅くまで仕事に追われています。真帆もを過ぎて、会社でなポストを任されるようになってきました」
夫は淀みなく、正論を並べてていく。
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「そんなで、のついた根菜や、保にのかかる漬物が届いても、今の真帆にはそれを丁寧に料理して消費するも体力もないんです。実際、以もせっかくいただいた野菜を腐らせてしまい、真帆がひどく自己嫌悪に陥っていたことがありました」
私の呼吸が浅くなる。 度だけ。 のうち、たった度だけ、繁忙期となって菜をダメにしてしまったあののことを、このはまるで「常茶飯事」であるかのようにすり替えている。
「僕が荷物をお断りしていたのは、お義母さんの好を無駄にしたくなかったからです。そして何より、真帆に『く消費しなきゃいけない』というプレッシャーを与えたくなかったからなんです」
母は居たたまれなさそうに線を落とし、さく肩を丸めた。 「……そうだったのね。真帆に、そんな負担を……」
「ええ。ですから、お義母さん」
夫は微笑みを崩さないまま、決定な言をにした。
「これからはもう、荷物を送るのは切やめていただきたいんです」
空気が、凍りついた。
母が顔をげ、すがるような目で夫を見た。 「でも……ほんのし、林檎箱つでも……」
「その林檎つでも、今の僕たちには余剰なんです」
夫の声から、微かに柔らかさが削ぎ落とされた。
「お気持ちだけで分です。それに、話もですね。夜遅くににかけてこられると、真帆の眠の妨げになります。
真帆は優しいから、実からの着信があると無理をしてでも話に付きってしまう。